弁護士の栗原さんに相談し、離婚についてたくさんの情報をもらった。
私はひとりで離婚へ向けて動いていたが、夫はこのことを知らない。
そして当たり前だが、離婚をするには夫にも伝えなくてはならない。
あの夫が、話し合いだけで離婚してくれるのだろうか…?
私
「…やっぱりこんな感じの人なら、話し合いで離婚なんて難しいですよね…。」
栗原
「うーん…、一概にそうとは言い切れませんが…。もし協議離婚が難しいなら、調停離婚というものがあります。調停でも難しいなら、裁判離婚ですね。」
私
「さ、裁判…。」
栗原
「不貞などを起こした側が離婚を認めず、協議から調停、調停から裁判へと流れていく感じです。」
栗原
「裁判離婚とまでなるとかなり時間もかかりますから、精神的にもキツイものです…。そうならないために、なるべく話し合いで行えるよう我々弁護士が間に入るケースが多いんです。」
私
「そうなんですね…。でも、恥ずかしながらこれから出産もあって、そんな余裕がないんです…。」
栗原
「そうですよね…。これは参考までにですが…。実は当事務所を利用する方は、金銭面的に余裕がない方の利用が大半を占めています。ですが、確実に慰謝料を取れると踏んでいる方は、その慰謝料から利用料のお支払いをしていただく方が多いです。」
私
「そうなんですか…?」
栗原
「はい!もし篠宮様がお困りであれば我々がお手伝いいたします。」
栗原
「ただでさえ妊娠されていて大変ですのに…。同じ女性として見過ごせません。なるべく低価格で済むようにしましょう!」
ボランティアじゃないのに、こんなこと言って大丈夫か…?
と思ったけど、真剣な表情の栗原さんを見て嘘ではないと思った。
私
「…それじゃあ、よろしくお願いします。」
結局私は栗原さんにお願いして、必要なものは全て揃えてもらうことにした。
夫にはダメもとで私から話すことに。
それから準備は着々と進み、あとは夫に切り出すだけになった。
私
(…そうだ。裕也より先に、義両親に伝えよう。そこに裕也を呼び出せば…)
先に義両親に伝えようと思った時、私の携帯が鳴った。
電話の相手は義母だった。
私
「…もしもし?」
義母
「あ、ありさちゃん?今大丈夫?」
私
「はい大丈夫ですよ。」
義母
「実はこれからうちですき焼きやるの!よかったらありさちゃんもかりんちゃん連れてどう?」
義母からの電話は夕食のお誘いだった。
これは夫のことを伝えられるチャンスかも、そう思ったが義実家には実家住まいの義妹がいる。
正直行くかどうか迷った。
私
(まぁでも、いずれにしても静香ちゃんにも伝えなきゃいけない…。よし。)
義妹のいる前で全てを暴露しようと決め、義母のお誘いに乗ることにした。