あの時の音声を聞いた義両親は、恥ずかしさからなのか怒りなのか、顔を真っ赤にさせて震えていた。
そして義父がその沈黙を破った。
義父
「…お前はとんでもないことをしてくれたな、静香!!」
義妹
「…!!」
普段穏やかで笑顔しか見せない義父だったが、この時初めてブチ切れた義父を見た。
義父が怒鳴ると同時に、私の話をだらけて聞いていた義妹の様子も徐々に変わっていった。
義母
「裕也の◯倫相手が静香…?きょ…兄妹でそんなことって…」
義母は頭を抱えて俯いてしまった。
肯定も否定もせず、ただひたすら黙り続ける義妹に呆れた義父は、怒鳴ったあと誰かに電話をかけ始めた。
義父
「ふざけるなよ!!黙っていればいいくらい思いやがって!!」
義父
「…もしもし、篠宮裕也の父ですが。裕也は今出社していますか!?…至急、実家の方へ帰るよう本人に伝えてください!!」
義母
「あなた…、裕也を呼んだの?」
義父
「当たり前だ!!肝心な奴がいないで話ができるか!!」
私
「…このことはまだ裕也さんには伝えていません。その前にお義父さんとお義母さんに伝えておきたいと思って今日は来ました。」
私
「この2人が血を分けた兄妹でありながら私に隠れて◯倫関係を続け、さらにはお腹の子までその関係を続けるための道具だと知った時、一瞬にして『再構築』の選択は消え失せました。ですから裕也さんとは離婚します。もちろん、子供たちは私が引き取りますので。」
すると頭を抱えていた義母が口を開いた。
義母
「…実は、あなたに黙っていたことがあるの。」
私
「なんですか?」
義母
「裕也と静香のこと…。」
義父
「…!?おいやめろ、こんな時に!」
義父は、これから義母が何を話そうとしているのかわかっているようだった。
でもここまで言われて聞かずに帰るわけにはいかない。
私
「2人が何なんですか?」
義母
「…実は裕也と静香は、本当の兄妹じゃないの!」
私
「…え?」
義妹・義父
「……。」
夫と義妹が本当の兄妹じゃない…?
その一言でその場の空気が凍りついた。
その様子だとどうやら義妹もこのことは知っていたようだ…。
私
「えっと…それはどういう…?」
義母
「…裕也は私とお父さんとの子供なの。でも静香は…、この子は施設から引き取った子なの。」
義母の話によると義両親はもともと2人の子供を望んでいた。
しかし夫を出産後、不妊症となってしまった義母は、義父との話し合いの末に期限を決めて不妊治療を行なうことに。
しかし、授かることはできず2人は治療を断念することになった。
しばらくして義母は、やっぱりもう1人子供が欲しいと望み、その結果児童養護施設という場所に行きついたという。