退院から約ひと月が経った頃。
私たちの健診も特に何事もなく無事に終わり、病院の帰り道に義実家へ寄って義母を乗せて帰宅することになった。
私
「それじゃあお義母さん、少しの間よろしくお願いします。私もできることはやりますので。」
義母
「なーに言ってるのよ。家のことは私がやるから、育児に専念していいのよ!」
私
「はい、ありがとうございます!」
この時の私は、義母は産後の私のことを考えて、泊まりがけでサポートをしてくれるんだと、そう思っていた。
しかしそれが間違っていると気づくのにそう時間は掛からなかった…。
義母を乗せた車が自宅に到着し、荷物を持って家の中へ入った。
自宅の玄関先には大きな姿見があり、その目の前には猫足のちょっとした椅子を置いていた。
その椅子は私の姉が引越し祝いに送ってくれた一点物で、
ちょうど妊娠がわかった時期でもあったため靴を履くときなどに愛用していたのだ。
すると義母は家に入るなりその椅子を見て言った。
義母
「あら?この椅子なんなの?こういう趣味だったのー?」
私
「これは引越し祝いに姉が送ってくれた物なんです。靴を履くときとか椅子があると便利で…」
義母
「ふーん…」
興味なさそうにそう言うと今度は勝手に玄関横にあるシューズクロークを開けて中をチェックし始めた。
私
「あ、あの…!そこはちょっと…」
義母
「へぇーここは綺麗にしてるのねー」
私
「……。」
夫
「ほら、早くあがんなよ。」
夫は自分の母親だからなのか、勝手に物色することに対して特に何も言わなかった。
すると今度はリビングに入るなり納戸をチェックしたり、食器棚を物色したり義母の勝手な行動がはじまった。
私
(さすがにこれってないよね…?こういう人だったの…?)
義母
「ここはもう少し整理しないとー。見えてるところだけ綺麗にしてても意味ないのよ。」
私
「…はい。」
今思えばこの時が初めて義母に対して違和感や不快感を覚えた時だった。
でも、だからといって手伝いに来てくれた義母をここで帰らせるというわけにはいかなかった…。