奇跡的に最後の治療で妊娠することができた。
初めてのエコー写真を手に帰宅し、夫が帰ってくるのを待った。
夫
「ただいまー。」
私
「おかえり!裕二、ちょっとここ座って、話がある。」
夫
「ん?どうした?」
私
「実はね、これ。」
私は今日もらってきたエコー写真を夫に見せた。
夫
「え…これって。赤ちゃん!?!?」
私
「そう…!!最後の最後に来てくれたの…!私たち、親になれるんだよ!」
夫
「そっか…、なんだか実感がわかないけど…。でも本当によかった!陽子ありがとう!!嬉しくて手が震えてるよ…(笑)」
そう言って夫は私をキツく抱きしめて喜んでくれた。
そして…
医師
「……」
私
「どうですか…?」
医師
「…うん、心拍確認できましたよ!安心してください!」
私
「あぁ…よかった!」
無事赤ちゃんの心拍も確認ができ、不妊治療のために通院していたこの病院はこの日で最後となった。
医師
「高山さんは今日でこの病院を卒業です。本当にこれまでよく頑張りましたね。僕も本当に嬉しいです、おめでとうございます。」
私
「こちらこそ、長い間お世話になりました。」
今後は産婦人科へかかることになり、近所に新しくできたところへ行くことにした。
役所へ行って母子手帳をもらうと、一気に母親になるんだという気持ちが強まった。
私
(私、本当にお母さんになるんだ…!でもここに私の赤ちゃんがいるってなんだか不思議な気分…。)
まだ膨れもしないお腹をさすりながら帰宅した。
それから順調に妊娠生活を送り、安定期に入った頃。
突然つわりが始まった。
私
「あぁ…気持ち悪い…」
ネットの情報だと妊娠発覚頃から始まるつわりは、私の場合は安定期入ってから始まった。
私
(会社にも妊娠の報告しなきゃだし、休んでられないな…)
ちなみに仕事はアパレルの本社勤務をしている。
気持ち悪さを我慢しながら出社し、その足で直属上司の元へ向かった。