無事安定期に入り、つわりも徐々に出始めた。
万が一のことも考え、会社には妊娠報告は済ませていなかった。
私
(そろそろ会社に報告しよう。つわりも出始めてもしかしたら休ませてもらうことも出てくるかも…)
気持ち悪さを我慢しながら出社し、すぐに直属上司の元へ向かった。
私
「関さん、今お時間よろしいですか?」
上司
「おはよう!うん、どうした?」
私
「すみません、ちょっと…」
従業員がたくさんいるオフィスでは話さない方がいいと思い、私は別のフロアにある小会議室に上司を呼んだ。
私
「すみません、オフィスでは話しづらくて…ここで…」
上司
「大丈夫よ!それで?何かあったの?」
私
「はい…。実は、現在妊娠しておりまして…。ちょうど安定期を過ぎましたのでご報告をさせていただきました。」
上司
「嘘…!!おめでとう!!随分悩んでいたもんね、本当によかった…!!」
実は会社の人間には、入社時からお世話になっているこの上司にだけ、不妊のことを相談していた。
上司にはお子さんが2人いて、どちらも不妊治療の末授かったこともあり、共通の悩みがあったことで快く相談に乗ってくれていたのだ。
私
「関さんにはこれまでたくさん相談に乗ってもらって、本当に心の支えになっていました。なのでまずは一番に関さんにお伝えしたくて…」
上司
「そうだったのね、ありがとう。つわりは?結構きつめ?」
私
「安定期と同時に気持ち悪さが出てきて…。」
私
「もしかしたらご迷惑をおかけすることもあるかもしれません。その時はよろしくお願いいたします。」
上司はにこやかに頷き、オフィス内でも直接関係のある部署にだけ伝えてくれることになった。
そして人事部へも上司が報告してくれることになり、会社の規定通り産休まで働くことになった。
しかし数日後…。
私
(はぁ…ちょっと気持ち悪くなってきた…)
吐き気でトイレに篭ると、グループで数名が化粧直しに入ってきたのがわかった。
するとある会話が聞こえてきた。
社員A
「てかさ、聞いたー?」