本当の気持ちに気づいたことで夫を徐々に信じたいと思うようになった。
でもそのためにはひとつだけはっきりとしておきたいことがあった。
私
「本当に私たちと生きていきたいなら、お義母さんに黙って引越しをしてほしい。」
夫
「引越し?」
私
「うん、正樹はお義母さんと縁を切るって言ったけど…。それでもこの先、これまでと同じことが起きないとは言い切れないと思ってる。」
夫
「いや…さすがにないよそれは…」
私
「今はそう言っても、あのお義母さんのことだもの、懲りずにまた近づいてくることだって十分にあり得るでしょ。」
夫
「……」
私
「私はもう、家族を危険に晒したくない、特に美亜は。少しでもその可能性を減らしたいと思ってるの。」
夫
「うん、それは俺も同意見だ。」
私
「…だから私はこの街から引っ越そうと思ってる。縁もゆかりもない場所に。」
きっとここまで言う必要はなかったのかもしれない…。
正樹の気持ちを考えると自分で言ってるくせに胸が痛んだ。
でも夫は…
夫
「…わかった、そうしよう。母さんとは縁を切ったんだ。迷う必要なんてどこにもないね。」
夫は真っ直ぐ私の目を見てそう答えてくれた。
私
「え…、本当にいいの…?」
自分でそうしたいって言ったくせに間抜けなことを聞いた。
これには夫もクスッと笑った。
夫
「いや、あやかがそうしたいんだろ?(笑)…それにあやかがそう思うのは当たり前だよ。」
夫
「だって一度俺たちの大事な娘を傷つけた人だ、そんなの俺があやかの立場でもそうしてると思う。それにさ、これは俺もそうしたいなって思ってたんだ。」
私
「え、どういうこと?」