のぞみ
「自分の気持ちを抑えて無理して、その結果自分がダメになったら…?私は桃子自身も大事にしてほしいって思ってる。」
私
「のぞみ…」
のぞみ
「桃子が子供たちを思うように、きっとカイトくんだって桃子のこと思ってるんじゃない?」
のぞみ
「だから、もっと自分に正直に生きた方がいいと思う。カイトくんはいつだって桃子の顔を見てるよ。」
のぞみにそう言われ気づいた。
確かに息子は私の顔をじっと見つめる時がある。
それは決まって何か考え事をしてる時。
私
「…確かにいつも見てるかも。」
のぞみ
「…桃子が笑っている日々の方がきっと幸せに感じてくれるはずよ。大丈夫、私も微力ながら協力するから。思うように生きなよ。」
私
「うん…、そうだね。ありがとうのぞみ。」
のぞみと話したことで再び夫と離婚した気持ちを取り戻した私は、帰宅後パソコンで離婚について調べた。
そこで近所で評判の良い弁護士事務所を見つけた。
私
「ここ、口コミがすごい…。弁護士事務所にもこんなにつくんだ…」
離婚問題の弁護が強みだというその事務所。
半信半疑で電話をかけてみることにした。
電話に出たのは『羽山さん』という男性の方だった。
物腰が柔らかく、男性の方相手でも終始気持ちよく話せた。
羽山
「・・なるほど。ではこの件で離婚を進めたいと。」
私
「はい…。やはりこういうので離婚っておかしいでしょうか…。これくらいなら私が我慢すれば良いのでしょうか…。」
羽山
「いいえ、何もおかしくないですよ。夫婦にもいろんな形があるように、離婚理由も様々です。本気で離婚をしたいと思うのなら、強気でいくことをおすすめします。」
羽山
「何事もそうですが、不安を全面に出してしまうとうまくいくものもいきません。離婚は難航すればするほど心身ともに疲弊していきます。まぁ円満離婚できるなら我々は必要ないでしょうしね…(笑)」
私
「そうですよね…」
羽山
「…奥様のお気持ちはお察ししますよ。だからこそ、私共を信用してくださいませんか?このようなケースは何件も担当してきました。そのどれもが、依頼者の納得いく結果に終わっています。ですからぜひ、ご安心してください。」
羽山さんは頭を下げてそう言った。