夫にサインと判を押させると私はその場を後にしようとした。
私
「では、失礼します。」
義実家を出ようとした時、義両親の顔が浮かんだ。
私
(お義母さんとお義父さんにも一応声かけた方がいいのかな…。)
迷ったが、人としてすべきことはしようと思い、義両親のいる部屋へ向かった。
私
「お義母さん、お義父さん。」
義母
「あら、今日は遅かったのね!」
義父
「…ん?どうしたんだ?」
義父が私の様子がおかしいことにいち早く気づいてくれた。
私
「急で申し訳ありません。実は、和春さんと離婚が決まりました。これまで嫁として至らぬ点もあったかと思いますが、お世話になりました。今後のことはお義姉さんが引き継いでくれてますので、安心してくださいね。」
それだけ伝え部屋を出ようとした時
義母
「佳乃さん。何があったのかは何となく想像つくわ。少なからず私たちのせいでもあるのよねきっと…。負担をかけさせてしまってごめんなさいね。」
私
「お義母さん…。いえ、私が嫁に来てから良くしてもらっていましたし、その恩返しのつもりでやってましたから。」
私
「お義父さんも、これまでたくさん気にかけていただいてありがとうございました。どうかお元気で過ごしください。」
義父
「あぁ、こちらこそありがとうな。」
最後の最後に義両親は優しい言葉をかけてくれ、一瞬気持ちが揺らいだ。
でもこれまで夫や義姉から受けた苦労を思い出し、溢れそうになる涙をぐっと堪えて私は義実家を出た。
私
「あぁ…終わった…」
全てから解放され、肩の荷がようやく降りた気がした。
それからすぐに自宅に戻り、荷物をまとめ子供たちに連絡を入れた。
娘は『すぐには住む家も見つけられないから』と配慮してくれ、家が見つかるまでの間娘の部屋に泊めてもらうことになった。
私
「何も相談しないで勝手に決めて本当にごめんね。」
娘
「いいのいいの!!私たちはもう成人してるし、ママのこれからの人生を優先していいんだよ!本当にお疲れ様。」
そしてカナさんの職場にも連絡を入れ、これまで通り働かせてもらえることになった。
周りの人たちに支えられていたことを再確認でき、幸せな気持ちでいっぱいだ。
これからは自分のやりたいことを好きなだけして、自由に生きていきたいと思う。