夫が娘の教室へ乱入すると、全員が一斉にこっちを見た。
担任
「あ、あの…どちら様でしょうか…?」
夫
「俺は立山小雪の父だ!おい、お前ら。うちの小雪をいじめたらしいじゃないか!そんなことするのはどこのどいつだ!」
突然の問いかけに焦りながらもある生徒が声を上げた。
生徒B
「こ、こいつが最初にいじめ始めました…!!!」
生徒A
「ち、違います…!!僕は何も…」
仲間割れだろうか、主犯らしき生徒Aは焦った様子で言い訳を並べていたが、夫は聞く耳を持たない。
夫
「ふざけんじゃねーぞ!!!」
夫は主犯の生徒に詰め寄り手を挙げようとした。
次の瞬間、パーティーに参加していた友達が数名悲鳴をあげて倒れてしまった。
私
「大丈夫!?」
担任とともに倒れた友達に駆け寄ると気絶していた。
私
(もしかしたらあの時の様子がフラッシュバックしたのかも…)
するとそこに校長室から追いかけてきた校長と付き添いの別の先生が教室に入ってきた。
先生
「これは一体…!」
担任
「生徒を保健室にお願いできますか!?」
校長と別の先生に頼み、倒れた友達を連れて行ってもらうことにした。
私
「いい加減にしてよ!こんなことやめて早く帰ろう!」
夫
「…いいや帰らない!小雪をいじめた奴…、小雪のことを好きな奴が圭の他にもいるかもしれない!突き止めるまで帰らないぞ!!」
すると夫は止めに入る担任を振り払って勝手に教壇に立ち、怯えている生徒たちに向かって言った。
夫
「お前たち!他に小雪に好意を持ってる奴はいるか!?いじめたのだってそれが原因なんだろう!?どうなんだ!!」
娘
「……」
生徒たちは次第にざわつき始め、ある生徒が手を挙げた。
夫
「お前も小雪が好きなのか!?」
生徒C
「ち、違います…!いじめた理由だけど、ある噂があって…。それがきっかけでみんなやるようになって…」
その子が言うには、我が家から日常的に怒鳴り声や悲鳴、
何かが割れる音など普通じゃあり得ない物音が激しく、『小雪の家はおかしい』などと噂が立っていたという。
それを面白がった生徒が娘をいじめたのが始まりだったそうだ。
話を聞いていた担任は、いじめの実態を知り私に謝罪してきた。
担任
「立山さん…。ここまでひどいことが起きていたとは知らず…。気づけず申し訳ありませんでした…」