◎前回の話はこちら
金子さんから、過去の会長たちから
引き継いでいる文書や資料、備品を譲り受けた夫。
それだけでなく、
ゴミ同然の子供服やおもちゃまで渡してきた。
私
「こんな穴開いたり汚れた服、着せられるわけないじゃない…!!
それにおもちゃだって壊れてるし…。
うちにゴミを渡してきたってこと!?…あれ、これって手紙?」
荷物の中に入っていたのは
四つ折りにされたメモ用紙だった。
そこには乱暴な文字で『早く出ていけ』と書かれていた。
私
「何これ…!?怖いんだけど…」
夫
「いやこれは…さすがにアウトでしょ…」
私
「こんなことできるなんて…」
他のダンボールにはそういうものは入っていなかった。
私
「他にはないか…。本当どういう神経してんのよ…」
夫
「…そういえば今日の1時に町内会議があるって。
すぐそこの小さい会館みたいなところで」
私
「こんなことされて出たくないんだけど」
夫
「気持ちはわかるけど…。
でも一応参加しないとじゃないか…?」
行く気なんてさらさらないが、
出なきゃ出ないで金子さんにきっと文句を言われるだろう。
一言くらい文句でも言ってやろう…、そう思い渋々参加した。
町内会議が行われる場所へ行くと、
ここの近辺に住む約10世帯の住民が参加していた。
全員が揃うと金子さんがその場を仕切り出した。
どうやら金子さんは前会長らしく、
話は次期会長の件に移った。
金子
「数日前に越してきたそこの夫婦にお願いしようと思う」
住民A
「金子さんがそれでよければうちは全然…!」
住民B
「うちも!…まぁ誰でも通る道ですしね…(笑)」
住民C
「若いご夫婦だし、私たちなんかより動いてくれそうですよね!!」
金子
「うん、確かに」
住民B
「じゃあ金子さんの意見に賛成の方〜?」
全員
「はい!」
金子さんに続きどんどん手をあげ結果全員が賛同した住民たち。
会長になることはわかっていても、この光景は少し異様だった…。
私
(こっちの意見も聞かずに決まるわけ!?金子さんの言うことは絶対ってこと…?)
金子
「じゃあ満場一致ってことで、進藤さん頼むね」
夫
「はい…。皆さんどうぞよろしくお願いします。」
みんなが私たちに会長を押し付けたにも関わらず、
夫の言葉に対しての反応は全員ものすごく薄かった。
結局文句の一言も言えず会議は終わった。
納得などいってなかったが会長といっても任期は1年のはず。
そのくらいならなんとかなるだろう…、この時の私はそう思っていた。
これから地獄のような日々が始まるとも知らずに…