私は本村亜美・38歳。
20代後半の時、仕事人間でなかなか恋人ができない私を見かねて、
友人が1人の男性を紹介してくれた。
その人が後の夫・司。
私と同い年で、
とても優しくて気も利くし何より一緒にいて楽しかった。
私
(こんな人と一緒になれたら幸せになれるのかなぁ…)
何度か友達として会ううちに次第にそう思うようになった時だった。
夫から、結婚を前提にしたお付き合いを申し込まれた。
私
「そ、それ本気!?」
夫
「もちろん本気だよ、こんなことふざけて言えないでしょ…(笑)」
この時の私は本当に幸せだった。
それから私たちは付き合うことになり、
その翌年に結婚式と共に入籍。
その頃は2人とも仕事が軌道に乗っていたため、
夫婦2人だけの時間を優先していた。
そんな生活が3年経った頃、私は急に焦るようになった…。
それは子供のこと。
私
(もう32歳…。早くしないと授かれないかも…。)
意を決して私は夫に相談することに。
私
「ねぇ…相談なんだけど。司は子供欲しいと思う…?」
夫は驚いた顔をして言った。
夫
「子供?そりゃもちろん欲しいよ!
…でも結婚してから亜美も仕事忙しそうだったし、
なかなか言い出せなくて…。」
私
「そうだったんだ…。
じゃあこれから子供のこと考えてみない?」
それからまもなく不妊治療を開始することになった。
でもそううまくはいかず…。
この不妊治療がとてつもなく辛くて、
何度もめげそうになった。
でも密かに抱いていた「幸せな家庭」のために、
2人で頑張り抜いた。
その翌年、奇跡的に授かることができ、
可愛らしい女の子が誕生。
夫
「うわぁ…ちっちゃいなぁ…。
亜美、本当によく頑張ったな、ありがとう。」
夫は涙ながらに出産に立ち会い、
娘の誕生を喜んでくれた。
なのに…。
その数年後、思いもしない形で夫から裏切られることになるとは、
この時の私はまだ何も知らない…。