◎前回の話はこちら
園長
「本村さん、本当になんとお詫びしたらいいのか…。
私も全く気づけず申し訳ありませんでした…。
あの…菜子ちゃんの在園はどうされますか…?
本村さんのご要望をお受けしたいと思うのですが…。」
私
「…本当なら娘も気に入っているこの園に
最後まで通わせ続けたかったのですが、
実家へ戻ることになったのでこのまま退園手続きをさせてください。」
園長
「わかりました。すぐに用意します。
他には何かご要望はありますでしょうか…?」
私
「園長先生は先ほどから私の要望ばかり伺ってますが、
園長先生が私の立場なら、どう考えますか?
…園長としての誠意を見せてください。」
正直園長は何も悪くない。
でも、この園の長としてどうあるべきなのかを
自分で提案して欲しかった。
園長
「そうですよね…、大変失礼いたしました。
私個人の考えでは、佐久間を懲戒解雇した方がいいと思いました。
このようなことが二度と起きないためにも…」
私
「ではそうしてください。
人の家庭を壊しておいて、自分だけが幸せになるなんて、
到底許されることじゃありませんからね。」
そして園長はすぐに娘の退園手続きを受理してくれ、
先生の処分を約束してくれた。
その後ママ友・ミカさんから聞いた話だが、
それからすぐに先生は懲戒解雇されたらしい。
それからの先生がどうなったのか、
誰もわからない。
娘には申し訳なかったが、
パパと離れてしまうこと、これからはじいじたちと暮らすことを伝えた。
娘は目に涙をいっぱいに溜めていたが、
「わかった」と一言。
私
「つらい思いをさせてごめんね…。
ママ、パパの分まで頑張るからね。」
娘は元夫が先生と不倫関係にあったことなどもちろん知らない。
もしかしたら、大きくなった時にどうして自分にはパパがいないのか、
きっと聞かれる時が来るだろう。
その時にこの話をするべきなのかどうかは、
今は判断できない…。
私
「はぁ…、全て終わった…。」
今まで私は見てきた、信じてきた元夫は、
どこまでが本当で嘘だったのか、未だにわかっていない。
それから数週間後。
実家の近くにある新しい幼稚園へ娘を送り出した後、
実家で母とお茶を飲んでいた時にふと口にした。
私
「もしかしたら…
菜子もパパを失わずに済んだのかな…。」
母
「ん?」
私
「あ、いや…。
あの時もっと佐久間先生との関係を詰めていたら、
もしかしたら離婚することなんてなかったのかもしれないなって思って…。」
母
「亜美、そんなこと考えなくていいのよ。
過去にすがらないで前を見て、
自分がこれだと思う道に突き進みなさい。
私たちはいつでも2人の味方だからね。」
いくつになっても親は親だな、
そう思った瞬間だった。
短期間で散々な目にあったが、人生山あり谷あり。
この先良いことがあることを信じて両親と力を合わせて、
親子で頑張って生きていこうと思います。