私は娘の案内を受けながら圭くんの家へ急いだ。
娘
「あそこの家だよ!」
学校の近くになり娘が指差す方向を見た。
そこには玄関先で揉めている夫と圭くんママの姿があった。
私
「ちょっと一樹さん!!」
夫
「え…お前、ついてきたのか!?」
私
「圭くんのお母さんですか…?」
圭くんママ
「はい…。あの、いきなり何なんですか!?圭がお宅のお嬢さんを弄んだってばっかり言うんですよ!訳がわかりません!今主人も留守なので、用があるならまたにしてもらいませんか!?」
圭くんママは夫の支離滅裂な言い分に爆発しそうな勢いだった。
夫
「お前の夫が留守とか関係ないんだよ!!」
私
「ちょっと!!…急に申し訳ありませんでした、帰りますね…」
私は騒ぐ夫を引っ張って圭くんちを後にした。
その日は何とか夫の怒りもおさめられ、1日が終わった。
その翌日。
娘
「…ただいま」
私
「おかえり〜!…え、どうしたの!?」
帰宅した娘はボロボロと泣いていた。
理由を聞くと、クラスの子たちにいじめられたという。
私
「い、いじめられた…!?」
娘
「朝学校行ったら上履きがなくて…。探し回ったら、体育館裏のゴミ捨て場に捨てられてたの…。それで教室では机にいたずら書きされてたり、教科書も無くなったり…。」
私
「そんな…」
どうして娘がそんな目に遭わなきゃならないのか…。
そう考えると思い当たる節はひとつしか無かった。
私
「もしかして昨日の…?」
まさかこんな1日で、娘に被害が出るなんて思ってもみなかった。
そしてさらに翌日には学校から電話があった。
内容は、娘のいじめの話が他の保護者からあがったらしく、その事実確認を取りたいということで学校に来てほしいというものだった。
私
「わかりました…。あの、主人には言わないでおいてもらえますか?当日は私が行きますので…」
夫に知られたら後々面倒臭いことになってしまう。
それは深く考えなくてもわかることだった。
義母に聞かれてるとも知らずに…。