M子からの助言を受け、しばらく黙って様子を見ようと決めた私は、
旦那の帰りがどんなに遅くても、
休日出勤が重なろうとも、笑顔で送り出そうと決めた。
妊娠中で身体も辛く、できればもっと家にいて家事や子育てを手伝ってほしかったけれど、仕方ない。
旦那も家族のためにがんばってるんだ。
そんなふうに前向きに考えるようにしていた矢先、身体に異変が起きた。
数日前からやけにお腹が張るなと思っていたところ、急激な腹痛に襲われたのだ。
その日は土曜日で、
娘は友達と公園に出かけており、旦那は休日出勤で家には私一人だった。
慌てた私は急いで旦那のスマホに電話をしたが、留守電でつながらない。
緊急事態だったため、仕方なく旦那の会社に電話をした。
すると、偶然にも顔見知りのSさんが電話口に出た。
これ幸いと、私はすがるような気持ちで状況を説明した。
Sさんは以前、
旦那が数回、我が家に飲みに連れてきたことのある部下だった。
しかし、どうにもSさんの様子がおかしい。
歯切れの悪い物言いを数分続けたのち、
Sさんは困ったような声で迷いながら言った。
Sさん
「旦那さん、休日出勤なんかしてませんよ。……ていうか、残業もしてないし、いつも定時にいそいそと帰ってますけど？」
