私
「素人の私が2人の介護なんてできないわ。あなたからもそう言ってくれない?」
夫
「何甘えたこと言ってんだ。そんなのやればいいだけの話だろう。」
私
「こっちの都合も聞かないで勝手にそんなこと…!」
夫
「でもお前は俺の妻だ。そもそも俺だけの稼ぎで十分なはずなのに働きたいだなんて…、そんなことしてる暇があるなら家族のために動けばいいじゃないか!」
実は夫と結婚した時、仕事を辞めて家庭に入ってほしいと言われていた。
でも単純に働くことが好きだった私は、仕事と家庭を両立することを約束し、夫の無理を押し切って働きに出たのだった。
夫
「この話はこれで終わりだ。これ以上話すことじゃない。わかったら今すぐ仕事を辞めて明日からの準備をしろ。」
私
「……」
昔から、言い合いになっても最終的には亭主関白な夫に逆らうことができなかった。
今回もそうだ。
私
(はぁ…またこうだ…。)
心底自分の弱さに嫌気が差す。
それから泣く泣く仕事先に連絡を入れた。
私
「・・あ、もしもしカナさんですか?」
カナ
『佳乃ちゃん、お疲れ様!どうしたの?』
私
「実は…」
カナさんに介護をすることになったため仕事を辞めさせてほしいことを告げた。
カナ
「そう…。それは残念ね。」
私
「申し訳ありません…」
申し訳なさや悔しさで泣きそうになるのを堪えた。
するとカナさんはある提案をした。
カナ
「でも本当はお仕事辞めたくないのよね…?」
私
「え…?」
カナ
「だってあんなに楽しそうにお仕事してるんだもの。」
カナ
「そんな人が本意で辞めたいって言わないんじゃないかって思って(笑)今は私1人で仕事は回るから大丈夫よ。また佳乃ちゃんがお仕事できるタイミングになったら声かけて!その時はまたうちで働いてほしいわ!」