カナ
「佳乃ちゃんがまたお仕事できるようになったら声かけて!その時はまたうちで働いてほしい!」
私
「いいんですか…?」
カナ
「もちろんよ!私、佳乃ちゃんの考えるデザインが好きなの。」
カナ
「佳乃ちゃんがいるから私も楽しく仕事ができるの。だから簡単には辞めさせないわよ!(笑)待ってるわね!」
私
「ありがとうございます…!絶対また連絡します!」
カナさんにお礼を言って電話を切った。
私
(ここまで言ってくれる理解のある仕事先なんて他にない…。カナさんの期待に応えるためにも絶対に戻らないと!)
大好きな仕事に戻ることを目標に私は介護に向き合おうと思考を無理矢理切り替えた。
そして翌日。
私は素人なりに必要なものを用意し、義実家へと向かうことにした。
一応夫にはLINEで今日から介護を始める旨を連絡したが案の定既読無視。
夫は昔から亭主関白な上に私や子供たちのことも興味ないような人。
結婚してから随分と変わってしまい、こんな風になるだなんてあの時は思いもしなかった。
私
(期待するだけ無駄ってわかってても、もしかしたらって気持ちがまだ残ってるのよね…。)
自分さえ良ければそれでいいような人。
きっと今回の件だってそういうことだろう。
私
(まぁでも、特別お義母さんたちと不仲なわけではないし、これまでたくさんお世話になった。)
私
(その分の恩返しのつもりでやれるだけのことはしよう…。)
自分なりにそう決め、この日から義両親の介護を始めた。
わかってはいたが、介護はかなり体力を使い大変だった。
言ってしまえば自分くらいの大きさの赤ちゃんをお風呂に入れたりトイレをさせたり着替えをさせたりするのだ。
1日が終わる度に疲弊しきって、帰宅すればご飯も食べずに寝てしまうこともあった。
もちろん自宅の家事はしっかりこなしている。
でも・・・
夫
「おい!飯はまだなのか!?」
私
「すいません、向こうの片付けがなかなか終わらなくて…。今から支度しますから。」
夫
「遅すぎる!!もっとしっかりこなせ!」