私
「いらっしゃい!急に本当にごめんなさい…」
薫
「いいのよ!友人の頼みだもの、当たり前でしょ!それに今日はいつもより案件も少なかったからちょうどよかったわ!」
私は薫をリビングへ通し、お茶を淹れた。
薫
「それで、あまり時間もないって言ってたわね?本題に移りましょう。」
私
「うん、実は・・」
私はこれまで起きたことを細かく薫に教えた。
私
「もう限界なの…。お金も底をつきそうだし、これ以上は耐えられなくて…
薫
「…なるほどね。よく頑張ったわね、佳乃ちゃん。大丈夫、その手の問題は私の得意分野なの、任せて!」
薫は張り切ったように持参した資料を見せてくれた。
薫
「電話で介護のことって聞いてたから、とりあえず介護の資料をあるだけ持ってきたわ。」
私
「こんなにたくさん…!」
薫
「これらは実際に起きた内容をまとめたものなの。介護ってだけでもその内容はさまざまなのよ…。佳乃ちゃんのケースだとこの辺りかしら。」
そう言って薫はひとつのファイルを開いた。
薫
「結果から言うと、法律上では嫁の立場である佳乃ちゃんは介護をする義務はない。」
私
「え…?それ、本当なの!?」
薫
「逆に介護をする義務が出てくる人は、要介護者の配偶者、兄弟姉妹、直系血族の子や孫なの。」
薫
「じゃあ何をするのかっていうと、介護というのはあくまでもお金においてなのね。」
薫が言うには、介護=身体的なもの、とイメージがあるが、それだけでなく介護に必要な金銭的な援助も含まれているという。
薫
「これは法律に基づいたものでもあるわ。だけど…」
薫
「さっき介護の義務って言ったけど、これは強制ではないのよ。介護をする人にも生活があるからね。」
私
「え…でもそれってどうやって決まるの?」
薫
「自己申告でいいのかって思われがちだけど、家庭裁判所が判断をしてきめるの。」
薫
「必要な情報から生活水準に照らし合わせて判断するの。そのお義姉さんが言ってた『介護は経済面も…』って間違いではないけど、どうも中身は私情が絡んでそうね。」