薫は私にわかりやすいように介護の義務について教えてくれた。
義姉が言っていた『介護=身体的だけでなく経済的な面もみること』は間違いではなかった。
でもそれは義姉が言う立場ではないのではないか?
薫
「どうもこれには私情が絡んでそうね。」
私
「夫も全く面倒を見ようとしてくれないし、義姉もこんな感じで…。私も強く出れない性格だから、強く言われちゃうとそのまま受けちゃうの…。このままじゃダメってわかってるけど、でもどうしたらいいのかわからなくて…。」
薫
「大丈夫、佳乃ちゃんには私がついてる!!」
薫
「私が代わりに言ってやりたいくらいだけど、ここはまだ私が出るところじゃない。だからまずは佳乃ちゃんが勇気を出してお義姉さんに話すしかないと思うの。」
私
「…そうよね、私が動かないとどうしようもないものね。」
薫
「それとね、これも教えておくわ。」
そう言って薫は1枚のチラシを見せてくれた。
私
「地域包括支援センター?」
薫
「そう!これは公的なサポートが受けられるのよ。」
薫
「介護についてわからないこととか、色々と手を貸してくれる!もしお義姉さんたちが本当に親御さんの介護ができない状況なら、こういうところに相談してその先を決めることだってできる。だから一応教えておくわね。」
私
「ありがとう…!!」
薫
「…きっと佳乃ちゃんのことだから、あまり事を大きくしたくないのよね?」
私
「うん…、さすが薫ちゃん、わかってるわね(笑)」
薫
「ふふ(笑)…それならどういう流れでお義姉さんたちと話をするか、それだけまとめてあげる。」
薫
「その通りに話せばうまく伝えられるはずよ。」
そして薫はあっという間に今まで話した内容をまとめあげてくれた。
私
「本当に助かった…!ありがとう薫ちゃん。そうだ、この分の費用だけでも払わせて。」
そう言ってお財布を開けようとすると薫は首を振った。
薫
「そんなのいらないわ。」
私
「え、でも…」
薫
「だって今日は私、仕事のつもりで来てないもの!ただ懐かしい友人の相談に乗ってそれに応えただけよ!だからお金なんていらないの!」
そう言って薫は私を抱きしめてくれた。