夫
「それに引越しは俺もそうしたいって思ってたんだ。」
私
「え…、どういうこと?どうして?」
夫
「実はさっきの母さんとあやかの会話だけど、部屋の外にいたら丸聞こえでさ…。割と最初のあたりから聞いてたんだ。」
私
「そうだったの…?知らなかった…。ごめん、徐々に私もヒートアップしちゃって…、思い返すとみっともなくて恥ずかしい…。」
夫
「でも俺もあやかと同意見だったんだ。母さんが言ってることに対して俺も怒りで震えてた…。それで次第に縁を切ってどこか知らない場所に引っ越そうと思った。」
私
「それ本当…?」
正直嘘だろと思ってしまった…。
夫
「都合いいと思うかもだけど、本当。でもすぐに部屋に入らなかったのは、もっと2人の会話を聞いてどれだけ母さんが酷いことをしてたのか、知るべきだと思ったから。」
私
「そっか…。」
すると夫は私の目の前に土下座をしてきた。
私
「え…何急に…」
夫
「これまで俺がしてきたことは許されることじゃないってわかってる。すぐに俺のことを信じられなくなるのもわかる。でも、でももう一度俺にチャンスをください。」
私
「いやいや…ちょっと頭あげてよ」
夫
「もっと俺がしっかりしてればこんなことにはならなかったんだ。母さんと縁を切って、家族のために行動をするチャンスをください。」
いくら顔をあげさせようとしても土下座を崩そうとしない夫。
その姿を見て私はようやく夫を受け入れようと決心した。
私
「…わかった。まぁ…、正樹の気持ちも辛いのはわかるし、私も正樹のお母さんに対してあんな口の利き方して悪かったって思ってる…。私の方こそ取り乱してごめん。」