◎前回の話はこちら
警察の方が帰られてすぐ、私は倉持さん宅へ訪問した。
倉持
「あら、長谷川さん!」
私
「急に来てすみません、さっき警察の方がみえてその報告と思いまして…」
倉持
「どうぞ、上がって!」
倉持
「それで?警察の方はなんて?」
私はさっき聞いた話を全て伝えた。
倉持
「そうだったのね!いやぁほんと一安心ね。…あ、そうそう、警察の方から聞いてる?明那さんのお子さんのこと。」
私
「いえ、そんな話は何も…」
倉持
「この前うちで子供のいたずらがあったって言ったじゃない?あれ、明那さんのお子さんだったのよ。」
私
「え!?そうだったんですか!?」
倉持
「小窓を割るなんて行き過ぎたいたずらだと思ったから、私も被害届を出そうと思ってね。」
倉持さんは防犯カメラの映像を警察の人に見せた結果、そこに映っている子供は明那さんの娘だったことがわかったという。
倉持
「警察が直接お子さんに理由を聞いたら、
『ママにやれって言われた』
って言ったらしいのよ…。ありえないわよね、普通。
子供にそんなことさせるなんて…」
私
「そんな…!でもどうして子供にそんなこと…?」
倉持
「警察の人が言うにはあの夫婦、どうやら私のことも目をつけてたみたいで…。
きっとあの夫婦たちに目を光らせてたから、脅迫したつもりだったのかもって…」
私
「そうだったんですね…」
倉持
「そのことも含めてあの夫婦に罪を償わせるって言われたわ」
私
「倉持さんの件までそうしてくれるなら、私も安心です。」
それから明那さん夫婦はこれまでの悪事全て警察に調べ上げられ、
初犯じゃないことから詐欺罪では最も重い刑罰を下された。
明那さんの娘は遠方に住む祖父母の家に引き取られたらしい。
私たち夫婦もこの出来事をきっかけに、
自分たちにできる最低限の防犯を見直すことにした。
私
「はぁ…散々だったね…」
夫
「でもあの夫婦は家も売却することになったらしいし、
もうここには戻れないだろうね…」
夫
「…だからここから心機一転、俺たちも新居生活楽しんでいこう!」
私・娘
「うん!」
夫の明るい掛け声で、私と娘も前向きな気持ちになれた。
どうか、明那さんたち夫婦もきちんと更生して
普通の幸せな生活を取り戻せることを願うばかりだ。