◎前回の話はこちら
翌日、
私は落ち着かない気持ちで夕方の時間を過ごしていた。
ケンくんが来るか、来ないか。
どちらの可能性もあり得る。
それによって自分がどう動くべきかを考えていた。
そして、チャイムが鳴った。
玄関を開けて驚いた。
そこにはケンくんだけではなく、
ケンくんママが並んで立っていた。
ケンくんママ
「カズに聞いたんですけど、
昨日家にいたのにカズを入れてくれなかったそうですね。
どうしてそんな意地悪なことをするんですか?」
突然詰め寄られ驚いたが、
こちらもこれまで思っていた疑問を相手にぶつけた。
私
「逆にお尋ねしたいのですが、
『自分のお子さんが連日休みなく同じ家を訪れて長時間滞在する』
ということに対して、どのように思われますか?」
ケンくんママ
「どうって……別に、何か不都合でも?
むしろ、お宅の娘さんの面倒を見てあげているんじゃないの。
感謝こそすれ文句を言われる筋合いはないわ」
私
「じゃあ、逆のことをされても
ご自分は何とも思わないということですね。
うちの娘を毎日お宅に遊びに行かせても、
迷惑とは思わないと……そういうことですよね?」
ケンくんママ
「お宅の娘さんはうちのカズより小さいじゃないの。
そんなの迷惑に決まってるでしょ。
しかも私は働いていて忙しいの。
あなたみたいに暇じゃないのよ。
専業主婦なら、近所の子の面倒くらい見てくれてもいいじゃない。
社会に何も貢献していないんだから」
あまりの言い草に頭に血が上りそうになったが、
ここで感情的になっても何も前に進まない。
奥歯をぐっと噛みしめ、私は淡々と言葉を放った。
私
「私が専業主婦であるからといって、
連日お宅のお子さんの面倒を見ることが義務だとは思いません。
私には私の生活があり、守らねばならない家族の生活があります。
ケンくんはあなたのお子さんです。
それなのにその責務を放棄しているのはあなたではないですか?」
ケンくんママ
「私は仕事が忙しいんだからしょうがないでしょう!
カズを食べさせていくには仕事をするしかないのよ。
私はシングルで頼れる実家もないんだから!
一体どうしろっていうの!!」