◎前回の話はこちら
金子
「一体なんのことを言ってるのかさっぱりだね」
私
「とぼけないでください…!
ゴミの分別しろとか、この前私に注意したばっかりですよね!?」
金子
「だからってこれを書いた犯人が私だって言いたいのかい!?
ふざけるのもいい加減にしな!」
私
「ふざけてなんかないです!それに子供の声のことだって…!
金子さんからしか注意は受けてません!」
金子
「受けてないだけで他の住民も思ってるさ」
実はこれまで、
出かける時に玄関先ではしゃいでいた息子の様子を見ていた金子さんから
『うるさい』と言われたこともあった。
でも親の私からして息子はそれほどやんちゃなタイプではなく、
他所の子供と比べると静かな方だ。
だけど念の為、
息子には家の中でも外でも住宅街付近では極力静かにするように注意をしていた。
だけどまだ4歳…。
静かなタイプと言ってもおしゃべりも上達し、体を動かすことが楽しい時期。
私
(家の中でだってドタドタしてるわけでもないし、
あの時の注意だってただのおしゃべりだったのに…)
金子
「私にはうるさいって感じたからそう言っただけだ!!
それの何が悪い!?」
夫
「金子さん、確かに人それぞれ感覚は違いますよ…。
子供の声が僕たちにはうるさくないと思っていても、
それが苦痛に感じる人だっているんでしょうし、それは責めるつもりはありません。
でも、ゴミの件やこの張り紙たち…。これは見過ごせませんよ。」
これまで見たことない雰囲気の夫。
冷静な対応だが、どこか怒りに満ちたような、そんな様子だった…。
金子
「…わ、私がやった証拠なんてないくせに説教なんて御免だよ!」
そう言うと金子さんは玄関ドアを閉めてしまった。
夫
「あぁ…怒っちゃったね」
私
「まったく、何なのもう」
確かに金子さんがやった証拠はないけど、他にする人が思い当たらない。
腑に落ちないまま自宅に戻り、そのまま夫は出勤した。
私
「あ…そうだった、今日は万里子さんと約束あるんだった…!」
万里子さんは仲良くしているママ友のひとり。
家は少し離れているが、幼稚園の近くにあるカフェでよくお茶をする。
息子を幼稚園へ送り届けた後、そのまま万里子さんといつものカフェへ入った。
万里子
「今日は2人なんて珍しいね!」
私
「本当、みんな予定合うのってなかなかないよねー」
万里子
「あ、そうだ!さなちゃん、新居どう??」