待望の2人目の妊娠が発覚してから数日後。
夫婦共に妊娠を喜んだのも束の間。
娘の時はほぼなかった悪阻だが、今回の妊娠では経験したことのない気持ち悪さが襲ってきた。
私
「す、すみません、ちょっと席外します…」
先輩
「はーい!…ってあら!?ありさちゃん大丈夫!?」
あまりの気持ち悪さに私は倒れてしまった。
次に目を覚ました時には病院のベッドの上だった。
私
「…あれ」
夫
「ありさ!大丈夫か…?」
そこには夫と先輩の姿があった。
私
「裕也…、仕事は?」
夫
「抜けてきた。ありさの会社から電話があって知らせてくれたんだ。」
私
「そうだったんだ…、ごめんね仕事中に。」
先輩
「ありさちゃん、妊娠してたのね。悪阻がひどいならもっと早く教えてくれてもよかったのよ?」
私
「すみません…、まだ安定期でもなかったので…。」
先輩
「幸い、うちは他よりママさんもいるしそれなりに理解もあるから、少し休むくらいならどうってことないよ。それより、ありさちゃんが無理しちゃったら元も子もないんだから、その辺りしっかり考えておかないとね。そうそう、後で先生が来るみたいよ。それじゃ、私は先に失礼するわね!」
私にとってもこんなの初めてのことすぎて戸惑っていた。
夫
「なぁ、そんなに状態ひどいのか…?かりんの時はそんなんじゃなかったろ?」
私
「うん…。でも今回は常に気持ち悪いというか…」
そうしていると医師が入ってきた。
医師
「お待たせしました。篠宮さん、気分はどうですか?」
私
「今はだいぶ楽になりました。」
医師
「それはよかったです。では少し今後について話をさせてください。」
そう言うと医師は細かく私たちがわかりやすいように説明をしてくれた。
医師曰く、私は重度の悪阻と言ってもいいらしく、貧血でもありしばらく自宅安静が必要とのことだった。
医師
「まだ安定期にも入っていません。あまり身体に負荷をかけてしまうと少し心配です。診断書は用意しておきますから、会社の方に提出してください。」
私
「わかりました…。」
念のため一晩だけ入院し、明日の検査で数値も戻っていれば退院していいと言われた。
夫
「じゃあ俺、帰るわ。かりんのお迎えも行かないとだし。」
私
「うん、よろしくね。」
病室を出る夫をその場で見送った。