夫が◯倫をしていると知ったその日、娘のお迎えはママ友・志乃さんがやってくれた。
しばらくするとインターンホンが鳴り、玄関先にいたためすぐに出れた。
志乃
「あ、ありさちゃん。お待たせ、かりんちゃん連れてきたよ。」
私
「ありがとう…。助かったよ。」
娘
「ママー?気持ち悪いのー?」
志乃
「…そうなの!だから今日はママを休ませてあげようね。あの…ありさちゃん。よかったらこれ食べて?」
差し出したのはまだ暖かい肉じゃがだった。
私
「え…?」
志乃
「ごめん、お節介かもしれないけど、ご飯とか作るの大変かもって思って…。こんなので良ければなんだけど…」
私
「…何から何までありがとう。お言葉に甘えて、いただきます。」
志乃
「よかった…!あのありさちゃん。動くなら今のうちだと思うから…。気を確かに持ってね。…それじゃ。」
志乃さんが帰って行った後、私は我に返った。
志乃さんの言う通りだ。
こんなことしている間にもきっと夫は◯倫しているに違いない。
私には守るべきものがあるし、絶望なんて今するべきことじゃない…。
それから私は娘を寝かしつけた後、ネットを開いて◯倫について調べ上げ、それをもとに今自分がすべきことをメモに取り上げていった。
私
「…なるほど、やっぱり証拠か…。弁護士さんがいてくれた方が心強いんだろうけどなぁ…。」
でも弁護士を雇う余裕なんて少しもない。
調べ進めると、そういうものを無料で相談できる場所があること知った私は翌日そこへ電話をかけてみた。
電話に出てくれた人はとても親切で、証拠入手のためのあらゆる方法を教えてくれた。
相談が終わり電話を切ってそれをまとめることに。
私
「なるほど、音声の証拠が一番有利なんだ。確かに写真とかだと言い逃れする奴はするだろうしな…。」
夫が◯倫をしている証拠に加え、◯倫相手が誰なのかも気になる…。
志乃さんが撮ってくれたあの写真には、相手の顔は少しも写っていなかった。
私
(音声の証拠ってレコーダーを使わなきゃだし、裕也のバッグにでも入れなきゃ証拠は掴めない…。そのためには家に帰ってきてもらうしか…。)
そんな時、夫から連絡が入った。
夫
『しばらく家に帰ってなくて悪い。会社に泊まり込みで仕事してた。もう落ち着いたから、今日は帰るよ。』
タイミングがいいのか悪いのか、夫の帰宅を知った私は調べ上げていたテーブルの上を片付け、いつも通りを装うことにした。