突然夫から帰宅する旨の連絡が届いた。
これまで通りの自分を演じる意識をしていると、夫が帰宅してきた。
夫
「ただいま。」
私
「おかえり。…ごめん、疲れちゃったから先に寝るね。」
夫
「…あぁわかった。」
夫の目を見たら、◯倫に対する怒りや悲しみが込み上げてきてしまい、これ以上目を合わせることができなかった。
同時に、◯倫の事実確認をしたいとも思った。
でも決定的な証拠が何もないことから今すぐに夫を問いただすのは難しいとも思い、逃げ去るように離れてしまった…。
私
(たかが女性と腕を組んで歩いているだけの写真を見せても…だもんね。今は堪えないと…)
私
(先に寝ると言ったものの…。ベッドが一緒だなんて気持ち悪くて寝れないよなぁ…。)
だけど、もしここでベッドで寝ることを拒んだら夫でも違和感を覚えるかもしれない…。
それだけは避けたいと思い、私は自分の感情に鞭を打ってベッドに潜り込んだ。
なかなか寝付けずにいると、夫が寝室へやってきた。
夫はこれまでと変わらず私の横で眠りについた。
しばらく経って、私は起き上がり辺りを見回した。
私
(…うん、よく寝てる。裕也の携帯は…、あった。)
夫が寝ていることを確認し、私は夫の携帯を取って寝室を出た。
証拠を掴むなら夫が寝ている時しかない、そう思ったのだ。
幸い、夫は一度眠りにつくと何しても起きない人。
私
(これなら気兼ねなく証拠を掴む準備や携帯チェックができる。)
念の為トイレに籠って夫の携帯を開いた。
私
(やっぱ指紋認証か…。よし…指紋を拝借しよう。)
一度夫の元へ戻り、眠る夫の人差し指を取り、画面に乗せた。
するとすぐに画面のロックが外れた。
私
(よし、これで見れる!)
と思った次の瞬間。
夫
「ん〜…、ありさ…?どうした?」
私
「え…!?」
夫
「俺の手、触った…?」
私
「え…えっと…、うん。布団かけ直してあげようと思って…。」
夫
「…あっそう。…おやすみ。」
そう言うと夫はまた目を閉じて眠りについた。
私
(び、びっくりしたぁ…。心臓止まるかと思った…。)
それから私はまたトイレに戻り夫の携帯をチェックすることに。
まずはLINEから。
LINEにはロックがかかっておらず、トークの一番上には見覚えのある名前があった。
私
「…静香?」