夫が行方をくらまして1週間が過ぎようとしていた頃。
真実を義両親に伝え、義妹にも慰謝料請求書を渡すことができたことで少し気持ちに余裕ができていた。
あとは夫だけ…。
私
「なかなか連絡が来ないなぁ…。」
あれから義父からの連絡を待っていたが、それといった連絡は一切なかった。
任せると決めたものの、本当に夫を探してくれているのだろうか…。
あんなことをしたとはいえ、我が子なら庇ったりするんじゃないか…。
ネット上の◯倫話に出てくる義両親というのはみんなそういう人たちで、結果的に離婚成立まで時間がかかったり、
慰謝料がまともに請求できなかったというケースも少なくないらしいのだ。
私
「はぁ…、こっちは養育費だってかかってんのに…。」
1人で嘆いている時だった。
私の携帯が鳴り、見るとそこには『義父』の文字が。
私
「もしもし!?」
義父
『あぁありさちゃん、ごめんね急に。今大丈夫か?』
私
「はい、大丈夫です!」
義父
『…裕也だが、なんとか見つかったよ。時間がかかってしまってすまない。今から裕也を連れ戻してくる。ありさちゃんが良ければだが、これから話をするのはどうかな…?』
私
「今なら娘も保育園に行ってますし、大丈夫ですよ。」
義父
『わかった。それじゃあまたあとで連絡するよ。』
義父からの連絡から約1時間後。
再び義父から連絡があり、自宅へ戻ったとのことだった。
急いで義実家へ入るとそこにはボロボロのスーツを着た、変わり果てた夫の姿があった。
すぐ隣には義父が。
この日は義母と義妹は不在だった。
私
「…今までどこ行ってたの?」
夫
「……。」
義父
「…実は隣の県まで逃げてて、ずっと野宿してたらしいんだ。こんな状態ですまない…。」
私
「いえ…。じゃあこの前の話の続きだけど…」
私は必要な書類を全てテーブルに並べ、夫に見せた。
夫は何も言わず静かに書類を手に取り中を見ていた。
私
「慰謝料と子供たちの養育費の支払いについての内容が書かれてある。養育費の未払いが発覚した場合のことも書かれてあるからしっかり読んでおいてね。あと、これも」
あの日出した離婚届をもう一度夫に渡した。
するとここでようやく夫が口を開いた。
夫
「…なぁ、やっぱり離婚しないとダメなのか…?」
私
「当たり前でしょ。あの時も行ったけど、やり直すなんて絶対にあり得ない。」
夫
「だってこんな慰謝料、俺払えないよ…。だから離婚はやめてくれないか…?」