◎前回の話はこちら
坂口さんが聞かせてくれた最後の証拠。
ドライブレコーダーに入っていた二人の声。
そこには二人が笑いながら私を蔑む様子や、
家族で使っている車で性◯為をするなど、
胸をえぐられるようななんとも気持ち悪い音声だった…。
私はさっき以上に気持ち悪さが込み上げ、
我慢できずトイレへ駆け込んでしまった。
私
「はぁ…はぁ…」
(どうして…どうして…!?
私に見せてたあの笑顔や優しさは嘘だったってこと…!?
あの女を触った手で娘を触ってたなんて…、気持ち悪い気持ち悪い…!!!)
私は夫への嫌悪感でいっぱいになり、
本当にどうにかなりそうだった…。
早くこの場から逃げ出したい…、
言い表しにくいがとにかく普通じゃ考えられないような感情に
追い込まれていった…。
どれくらい経ったろうか、トイレの個室で座り込み脱力した私を、
別の事務所の方が抱えてくれ、さっきまでいた相談室へ戻してくれた。
坂口
「奥様…お気づきですか?」
私
「あれ…私って…」
坂口
「気持ち悪くなられてトイレで倒れていました…。
あ、別の女性社員が運びましたのでそこはご安心を…!」
一瞬どうして寝ているのかわからなくなっていた。
私
(あぁそうか、
私坂口さんに証拠を見せてもらって気持ち悪くなったんだ…。)
冷静になり、私は坂口さんにさっきの話をした。
私
「あの…さっきのドライブレコーダーですけど、
あれはいつものものですか…?」
坂口
「先ほどのものは昨日のものです。
あれ以外にも怪しい音声はありましたが、
先ほどのものが一番決定的で不貞の事実も十分な証拠になります。」
私
「そうですか…、わかりました。
ご丁寧にありがとうございました…。」
それから私は不倫の証拠を探偵からもらい帰宅した。
夫に裏切られたという事実を受け止めるほかない一方で、
まさか自分のことを調べられていると知らない夫は能天気に日々を過ごしていた。
夫
「今日は夕方に大事な会議があるからいつもより遅くなる!」
私
「……。」
夫
「亜美?どうかした?顔色悪いよ?」
私
「今日って何の日か覚えてる…?」
夫
「え?今日…?」