◎前回の話はこちら
母
「当時娘が生まれた時、
私がどんな気持ちでいたかご存知ですか…?」
義母
「は…?」
母
「同じ母親ならわかりますよね?
無垢な生まれたての我が子を初めてこの手で包み込んだ時、
『この子が幸せになりますように』って…」
義母
「…何が言いたいんですか?」
母
「私は、この子が生涯何不自由なく幸せに過ごせるように、
常にそう願っていました。
きっとお義母さんも同じこと思いましたよね?」
義母
「……。」
母
「我が子が幸せになれるように、
私たち親は必死になってこれまでの日々を過ごしてきました。
お義母さんもそうだと私は思ってます。
だから、あなたの子育てが間違っていたとは言いませんし思ってもいません。」
義母
「な、なんなのよさっきから上から目線で…!!」
母
「…でも、我が子の過ちは親である私たちが
しっかり向き合ってあげるべきだと思いませんか…?」
義母・義父
「……。」
母
「人間誰でも完璧じゃありませんから、
失敗なんて付き物です。
でもそれを見ないフリをして過ごすのか、
それとも何がいけなくてどうあるべきだったのかしっかり向き合うか…。
果たしてどちらが親として導いてあげる道だと思いますか?
私はもちろん後者です。
だけどそれを選ぼうとしないあなたは、
同じ母親として言わせてもらうと、母親失格だと思います。」
義母
「…!!」
母
「そうならないためにも、
ぜひ一度ご家族で話し合うべきだと思いますしそうしてください。
では、これで失礼します。どうか皆様お元気で。」
母は私の手をしっかりと握り、
これまでの放心状態だった母とは思えない凛々しい雰囲気に、
私はなぜか涙が溢れた。
そして自宅を出て父の待つ車に乗った時…
母
「…亜美。辛かったわね、よく頑張ったわ。
でももう大丈夫よ、お母さんもお父さんも、
もちろん菜子も、あなたの味方だしずっと一緒よ。」
私
「お母さん…(泣)
お父さんも、ありがとう…。」
父と母は私の両手を包み込んでくれ、
一緒に涙を流してくれた。
そしてミカさん宅へ娘を迎えに行った。
娘は遊び疲れて眠ってしまっていた。
私
(さよならもないままパパと離れ離れにしてごめんね、菜子…。)