◎前回の話はこちら
意を決して探偵事務所に頼んだ私は後日、
夫の詳細を届けるために事務所へ足を運んだ。
事務所はビルの3階にあり、
室内はとてもシンプルで綺麗な空間だった。
私
「こんにちは、本村です。坂口さんいらっしゃいますか?」
坂口
「本村さんですね!こんにちは、私が坂口です!
先日はお電話ありがとうございました!」
私
「こちらこそありがとうございます。
指定されたものを持ってきました。」
坂口
「ありがとうございます。ではこちらへどうぞ。」
相談室へ移動し、写真や身分がわかるものなど、
指定されたものをテーブルに並べた。
坂口
「では今後のことですが、
基本的には対象者にバレないように尾行を続けます。
少しでも怪しいと感じるものは証拠として写真に収めます。
一連の流れが掴めましたら奥様にご連絡いたします。」
私
「わかりました、よろしくお願いします。」
素行調査は一週間でお願いした。
数日でも十分な証拠は掴めるかもしれないと言われたが、
どうしても白黒はっきりさせたかった。
だったらきちんと一週間見てもらった方が、
どんな結果であっても受け止められると考えたのだ。
それからの一週間は毎日が不安でどうにかなりそうだった。
私
(自分で決めたことなのに、
やっぱり不安な気持ちだけは拭えないな…。)
その間も夫は誰かと会っているのか、
帰宅時間が遅かったり休日はどこかへ行ったりと、
相変わらずな様子だった。
娘もつまらなそうにしている。
娘
「ねぇママ、パパは?」
私
「パパ?うーん、お仕事じゃないかな?」
娘
「なんでいつもおそいのー?」
私
「なんでだろうね。きっと忙しんだよ!
菜子とママのためにお仕事頑張ってるから、応援してあげようね!」
ぐずる娘をなだめる日が続いていた。
そして一週間が経つ日、坂口さんから電話があった。
坂口
「もしもし、坂口です。調査の結果が出ましたので、
お時間あるときに事務所までお越しください。」
私
「ありがとうございます。では明日伺いますね。」
そして翌日、事務所へ行き調査結果を聞くことに。
私
「あの…それで結果は…?」
坂口さんは深いため息をつきながら言った。
坂口
「完全に真っ黒です…」