つわりで気分が悪くなりトイレの個室に篭っていた。
その時化粧直しで数名がトイレに入ってくるのがわかった。
社員A
「高山さん、妊娠したんだってー」
社員B
「聞いた聞いた!!あの年でまじかーって思った(笑)」
社員C
「それにあの人、不妊治療結構やってたらしいよ〜。1年通ってもデキないなら普通諦めるよね(笑)」
社員A
「うんうん、自分の年齢もあるし、何より子供が成人した時のこと考えるとあの年で授かろうなんて思わなくない!?子供がかわいそー。」
私
(な、何今の…。私陰であんな風に思われてたの…?)
しばらくするとその社員たちはトイレから出て行った。
静まり返ったトイレで1人、静かに泣いた。
私
(妊娠している人みんなこんな風に言われてるのかな…)
声の感じ的にまだ20代前半の社員だろう。
同じ女性なのに、こんなにも冷たい人間がいるんだと悲しくなった。
一部の人たちから陰口を叩かれながらだったが、それと同じくらい妊婦の労働に理解がある人たちもいて、
助けてもらいながらなんとか産休まで働くことができた。
私
「今日まで本当にお世話になりました!」
上司
「何だかあっという間だったね(笑)特に何事もなくここまで来れて私も安心したよ!子供産まれるまでまだ時間あるから、ゆっくり過ごしてね!」
母子ともに異常もなく妊婦生活を送ることができ、私は産休に入った。
そして予定日前日。
元気な男の子が産まれた。
初めて見る我が子は本当に可愛くて、目に入れても痛くないとはこういうこと。
私
「はじめまして、赤ちゃん。」
息子は健太と名付けた。
健やかに元気に育ってほしい、そう願いを込めて…。
こうして私たち家族は3人となり、幸せな生活を送ろうとしていた。
が、まさかあんな形で家庭が崩壊しようとは、この時の私は微塵も感じていなかった…。