私
「サキさんの婚約者の金谷さんって人から聞いたの。」
夫
「こ、婚約者!?!?」
私
「何よ、知らなかったの?この前携帯を忘れて出社したよね?あの日、知らない番号からかかってきて、大事な電話だと思って出たら金谷さんがものすごい勢いで怒鳴ってきてね」
私
「そこで全てを聞いた。よくも私を騙してあんなことしたわね。自分がしたことがどれくらい酷いことかわかってる!?一種の犯罪よ!!」
私が怒鳴り散らすと夫は怯み、土下座をして謝罪してきた。
夫
「本当にすまなかった!!!もうこんなことしないから!!許してくれ!!」
私
「私なんかより先に謝る人がいるでしょうが!!」
夫
「…そ、そうだよな」
私はすぐに金谷さんに連絡を入れ、サキさんに謝罪をする旨を伝えた。
それから私たちはサキさんの元へ出向き、誠心誠意謝罪をした。
サキさんの希望で、これ以上夫と関わりたくないということで示談金でこの件は終わらせることになった。
そして翌日。
夫の携帯に会社から電話が入った。
夫
「はい、高山です…。はい…、はい、え!?!?そ、そんな…!?」
突然取り乱す夫。
10分くらい電話をした後、崩れるように座り込んだ夫。
私
「え、なに。どうしたの?」
夫
「いや…その…」
なかなかはっきりと喋らない夫にイライラ…。
私
「いいから話しなさいよ!!」
夫
「今部長からの電話で…。早期退職を勧められた…。」
私
「は!?それってクビってことだよね!?」
夫
「うん…」
私
(でもあんなことしておいてそのまま置いてもらえるわけないよね…)
夫
「俺めちゃくちゃ断ったけど、でも聞いてもらえなかった…。来月で退職が決まった…」
ひどく落ち込む夫を見て自業自得だと思ったし、それに対して私は声をかけなかった。
それから夫は数日ずっと猛省しているようで、家のことも自分からやりだすようになっていた。
私
(こんなに反省してる姿みたの初めてかも…。現状私も仕事してないし、すぐに離婚なんて無理そう…。もうこんな馬鹿なことしないって約束させた上で、目を瞑ろうかな…。)
こんな判断をするなんて、この時の私は本当に愚かだったと思う…。