◎前回の話はこちら
夫
「真奈鈍感だから一生気づかないと思ってたのに…、
残念だな」
私
「…どうして?
聡のことずっと信じてたのに…」
夫
「信じてた?(笑)何言ってんだよ、
信じてたのは俺じゃなくて結婚した『僕』だろ?」
私
「え…?何言ってるの…」
夫
「真奈が見てきたのは本当の俺じゃない。
俺から救った『僕』だ。真奈は俺を嫌ってた。
だから俺から助けてあげる『僕』なら、
真奈も気に入ると思ったんだよ」
私
「…じゃああの時のストーカーって…」
夫
「うん、俺だよ!」
夫は何も悪びれる様子もなく、
なぜか誇らしげに笑って見せた。
私
「どうして…どうして!?」
夫
「どうしてって…
真奈を愛してるからに決まってるだろ!?」
私
「どうして私なのよ…!」
夫
「あぁ、俺がなんでストーカーしたのか気になってるわけ?
ひどいなぁ。真奈なら知ってるくせに」
私
「知ってるって何を!?」
夫
「真奈はあの日、
絶望の淵にいた俺に声をかけてくれただろ!?」
私
「は…?声をかけた?私が??」
いや全く思い出せないし記憶にない…。
夫
「あの時俺は外の世界が怖くて怖くて仕方なくて、
道端でうずくまっていた。
そんな時に真奈は優しく『大丈夫ですか?』って
声をかけてくれたじゃないか!
気味悪がって誰も声をかけてくれなかったのに君だけが!!
その時に思ったんだよ、
あぁこの人はこんな俺を大事にしてくれる人なんだって…!
それがきっかけで僕は真奈のことが頭から離れなった…!
そしていつか絶対真奈を自分のものにするって決めた!!」
そして夫は次の日から私を見つける日々を送り、
見つかったあとは最寄り駅を特定、
そしていつ何時にどの電車に乗ってどこで降りるのか、
仕事場の特定やどの地域に住んでいるのかなど、
あらゆる情報を掴み出したらしい。