夫はストーカー

【No.6】結婚した夫は私のストーカーでした…

夫はストーカー

◎前回の話はこちら

【No.5】結婚した夫は私のストーカーでした…
◎前回の話はこちら 家の中に入った瞬間、着信が入った。 表示は『非通知』 なぜこのタイミングなのか…。 激しい動悸を感じながら電話を無視した。 しかし・・ 私 「…ちょっ...


「あ…あの…」


「なんかさっきから様子おかしいなって思ってて…。
 声かけられなくてすみませんでした…」


「いえ…」


「もしかして…その…痴漢ですか?
 犯人誰かわかります?」


「……」

優しく心配してくれた当時の夫の声に安心して、
怖さもあってその場で泣き崩れてしまった。




周りの目もあるため、
夫は私を連れて隅に寄ってくれた。


「大丈夫ですか…?
 あの、もしよかったらこれでも飲んでください」

そう言って
自販機で買ってきてくれた飲み物を渡してくれた。


「ありがとうございます…」


「…それで、
 さっきの痴漢の犯人、誰かわかりますか…?
 わかれば駅員さんに話しておこうと思ったのですが…」


「犯人…。実は…」

私はこれまで
自分がストーカー被害に遭っていたことを話した。

さっきの痴漢も
あのストーカーで間違いないということも…。





「そんな…。
 それじゃあ顔は見てないってことですか…?」


「はい…。
 後ろにピッタリくっついてたこともあって、
 声しか確認できてないです…」


「そうだったんだ…。
 怖い思いしてたんですね…。
 あ、警察には被害届とかは…?」


「最初の頃相談してたんですが、
 結局今の時点では動くことができないって
 言われて…」


「なるほど…。
 一応ここの駅員さんに被害があったことだけ
 伝えておきましょうか」




それから夫は、
私に代わって手際よく駅員さんに話をしてくれ
対応をしてくれた。


「すみません、
 今日はありがとうございました。
 これからお仕事ですよね…?
 すみません、変なことに付き合わせてしまって…」


「いえ、気にしないでください!
 それじゃ僕はこれで…」


「…あ、あの!
 もしよければですが…
 今日のお礼をさせていただけませんか…?」

この時の私は当時の夫をただの優しい人、
と思ってそう声をかけてしまったのだ…。

タイトルとURLをコピーしました