私は倉持桃子・38歳。
今から16年ほど前、大学を卒業後とある企業に社員として働いていた。
最初は誰でも自分がこれから働く会社がブラック企業だなんて思ったりしないだろう。
それは私も同じだった。
私
(やりがいのある仕事なんだろうなぁ!精一杯頑張ろう!)
やる気に満ち溢れながら出勤していたのを今でも覚えている。
しかし、入社して3年が経とうとした頃、急に激務に追われるようになったのだ。
上司
「おい倉持!お前この案件まだ終わってなかったのかよ!」
私
「え…それ私頼まれてないですが…」
上司
「は!?俺お前にやれって頼んだろ!?ふざけんなよ、これだから若い女は使えねーんだよな〜。使えるのは体だけってか(笑)」
私
「…すぐやります。」
こんな風にこき使われたりセ◯ハラを受けるなんて日常茶飯事になっていた。
そして入社して3年半で私は体を壊し、出社できなくなってしまった。
私
(私は一体なんのために働いてたんだろう…。家族のために、自分のために働くってこんなに辛いの…?楽しく働くことすら許されないのかな…)
そんな風に思ううちに精神的にも病んでしまい、結局は退職をするほかなくなってしまった。
母
「桃子…、大丈夫?仕事ならお母さんがするから、しばらくは家で休んでいなさい。」
私
「でも…、お母さんだって体辛いって言ってたよね…?」
私
「私がちゃんとしたところで働けば、いくらか助けることだってできるのに…」
母
「何言ってるのよ(笑)私はあんたのお母さんだよ?ここぞという時に頑張れるようにできてるの!(笑)だから桃子はまず自分のことを心配しなさい、ね?」
私
「うん…、ありがとうお母さん。」
それから半年かけてなんとか元の状態まで回復し、すぐに仕事を始めようと職探しを始めた。
私
「前職とは別の、何かやりがいがあってお給料もそこそこの場所ってないかな…」
視野を広げて色々見ていると、広告で『派遣』の文字が目に入った。
私
「派遣かぁ…」
これまで正社員しか頭になかったが、気になった私は派遣について調べてみることにした。