夫との離婚を心の中で決めていたが、その反面自分1人の稼ぎで子供2人を養うのには限界があるとわかっていた。
実は私自身、幼い頃に両親が離婚をしていたのだ…。
私は母に引き取られ、専業主婦だった母はパートを掛け持ちしながら私を育ててくれた。
自分には父がいない。
それだけで寂しい思いを幾度となくしてきた。
幼いながらに父親の存在を欲していたんだと思う。
それだけでなく父親がいないってだけで周りから変な目でみられることもしばしば…。
そして何より経済的な面で辛いことが多かった。
小さい頃は病弱だったこともあって、私の看病のために母は仕事を休むことが多かった。
だから思うように稼ぐこともできず、常に貧しい日々が続き、毎日を生きるのに精一杯だったような感じだ。
私が元気になれば母は朝から夜まで働きに出てしまい、一緒にいれる時間もほとんどなかった。
私
(あの頃は本当に貧しくて寂しい記憶しかなかったな…。)
なんとか生きていける状態が続き、高校生になった途端私は家計のためにアルバイトを始めた。
同級生はみんな遊びや恋愛に夢中で、青春を謳歌しているような感じだった。
それを横目に私は明日の母のため、自分のために毎日働くことしかできなかった…。
高校3年生になる頃、進路を決める時期になった。
私はもちろん就職を選んでいたが、母から話があると言われた。
母
「桃子、あんたはちゃんと進学しなさい。そしていいところで働きなさい。」
そう言って母は通帳を渡してきた。
通帳を開けるとそこには見たことのない金額が書かれていた。
私
「え…お母さんこれどうしたの…!?」
母
「これ?これはあんたのために結婚した時から貯め続けてたお金よ。桃子のために使うつもりでずっと貯めてきたの。これまで辛い思いをさせてきて本当に申し訳なかったわ…。これは自分のために使いなさい。」
私
「お母さん…」
母が私のために貯めてくれたそのお金で私は進学を選択することができた。
バイトの合間で勉強をし、成績は常にトップをキープしていたため、進学先もかなりいい場所を先生から提案された。
試験も無事合格し、初めて自分の選んだ道を進める喜びを知った。