年収3000万夫

【No.26】年収3000万エリート夫、実はパ○活大好き人間だった

年収3000万夫

テーブルの上に置かれた書類を目の当たりにし、夫は本気で私が離婚する気でいると理解したようだった。


「な、なんだよこの書類は…」


「見てわからない?離婚の取り決め。慰謝料に子供たちの養育費、財産分与とかね。この場で目を通して。」


「…本当に離婚しなきゃダメなのか?」


「当たり前でしょ、何言ってるの。そっちだって私が家にいるだけでつまらないんでしょ?ならもう離婚じゃない。」


「そ、それは本音じゃないし…!」


「は?本音じゃないなら何?ハナとの関係を繋ぐための演技だとでも言いたいの?それで私は怯んだらハナとの関係も続けるつもりでいたってか…。あんまり私を見くびらないで欲しいわ。あんたの魂胆も全て筒抜けだし、もう何も聞きたくない。いいから早くこの書類読んでサインして。」

ムカつきすぎて一気に言ってしまった。

こんな冷静にキレたのは初めてだし、夫もびっくりしていた。

結局夫は書類を全て読み、その内容でいいとサインした。

離婚届にも判を押し、あとは役所に出すだけ。


「じゃあ明日には出すから。」


「…本当に悪かった。」


「今更謝罪なんて聞きたくないから。」


「…家はどうするんだ?」


「私はいらない。出ていく。」


「…なら引越し費用は俺が負担する。」


「…実家へ戻るからいらない。荷物をまとめたりしなきゃだから、出て行くのは来週にする。」


「わかった…」

夫をリビングに残し、私は息子が寝ている部屋に移った。


(これで終わりか…。なんか呆気なかったな…。でも取り決めについてはすんなり受け取ってくれてよかったのかな。)

お金だけは余裕がある夫だから、書類の内容は特に引っ掛からなかったんだろう。

それだけは良かったかもしれない。

そして翌日、息子を幼稚園へ送ったあと、役所へ離婚届を提出した。

無事に受理されたが、なんというか…紙切れ一枚で簡単に終わるなんて実感がなかった…。

そのあとは気晴らしに近所のカフェへ向かった。

タイトルとURLをコピーしました