私・進藤さなと、夫・和也は夢のマイホームを手に入れた。
4歳の息子のみなとを連れて、今日引越しを完了させた。
私
「この荷物は2階にお願いできる?」
夫
「わかった、持って行くよ。」
購入した家は新築の建売。
シンプルな見た目に加え、小さい庭と駐車場付きで予算内で収まり、マイホームを夢見てた私たちにとってお城同然だった。
夫
「この荷物が終わったらお向かいさんとお隣さんにご挨拶しに行こうか」
私
「そうね、菓子折りの準備しておく!」
キリがいいところで家族3人で挨拶に行くことにした。
まずはお向かいの関さん宅へ。
すぐに出てくれ、菓子折りを渡した。
私
「今日向かいの家に越してきました、進藤です。小さい子がいるので何かとご迷惑をかけることもあるかもしれませんが、よろしくお願いします。」
関
「よろしくね〜。うちも孫がいるからよくわかるわ。お菓子、ありがとうね」
続いてお隣さんの金子さん宅のベルを鳴らした。
割とすぐに出てくれ、さっきと同じように挨拶をした。
私
「今日隣に越してきました、進藤です・・」
出てきたのは70代のお婆さんだった。
金子
「あぁここの家かい?まったく嫌んなるよ!」
私
「え…?」
金子
「数ヶ月前から工事の音がうるさくてうるさくて…。いつかこの家が壊れんじゃないかってくらい揺れてヒヤヒヤしたんだからね!」
夫
「あ…それは、申し訳ありませんでした。」
私
「すみません…」
金子
「…あら?子供かい?」
私
「あ…はい!まだ4歳で…。何かとご迷惑かけることもあるかもしれませんが、よろしくお願いします。」
金子
「さっきも言ったけど、私はうるさいのが嫌いだからねぇ。気をつけておくれよ。」
私
「…わかりました」
金子
「あ、そうそう、大事な話があるんだった。」
私
「なんでしょうか?」
金子
「ちょうど明日から新しい町内会が始まるんだよ。あんたが会長だから、しっかり励んでおくれよ。」
私・夫
「え…!?」
なんと引越し初日にここの町内会の会長に任命されたのだった…。