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【No.3】毎日マイホームに来る放置子
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ケンくんが来て娘は喜んだものの、
私はどこか釈然としない気持ちで二人の様子を見ていた。
娘に出したおやつの食べ残しを断りなく食べはじめたケンくんが、
悪びれもせず私にお代わりをねだる。
...
その後、嫌な予感が的中した。
平日の放課後毎日、週末は朝の8時過ぎからケンくんにチャイムを鳴らされる。
せっかくのマイホームで家族団らんを楽しもうと思っていても、ケンくんに
「あれやりたい、これ食べたい」
と要求され、それが通らないと泣き真似で押し通そうとする。
私
「今日は家族でお出かけするから、ごめんね」
ケンくん
「えーやだ!俺も一緒に連れて行ってよ!」
私
「そうもいかないのよ。
少し遠くにお出かけするから。今日は帰ってちょうだい」
ケンくん
「やだやだやだ!俺も行くー!!」
最初の頃はやさしい顔をしていた旦那も、
すぐに異変に気づいたようだ。
旦那
「勝手に知らない子を連れて出かけたら、
おじさんたち警察に掴まっちゃうから。
帰ってくれないなら学校に連絡するけど、どうする?」
ここまで言われてようやく、
すごすごと引き返したケンくん。
せっかくのお出かけ前に、
気持ちがどんより重くなってしまった。
旦那
「これ、世間でいうところの『放置子』だよな」
私
「うん、そう思う。
子どもは毎日来てるのにママは初対面の時以降、
一度も顔を見せないし。絶対おかしいよ」
旦那
「最初に会った時は良い人そうだと思ったんだけどなあ。
変なのに気に入られちゃったな」
私
「実は、最初から変な違和感は感じていたのよね……。
正直もう、うんざりしているのよ。
毎日来てはお菓子を食べて家にまで持ち帰るし、
娘の遊んでいるゲームも自分勝手に奪っちゃうし」
夫婦そろってため息をつき、車に乗り込んだ。
旦那の釘が効いてくれていればと思ったが、翌日もケンくんは何食わぬ顔でやってきた。