放置子

【No.9】毎日マイホームに来る放置子

放置子

◎前回の話はこちら

【No.8】毎日マイホームに来る放置子
◎前回の話はこちら しばらくすると諦めたのか、ケンくんは帰っていった。 静けさを取り戻したリビングで、 私はしばし呆然と座り込んでいた。 娘 「ママ、大丈夫?ママ?」 私 「大丈夫よ。あ...

先生
「はい、もしもし。T小学校です」

受話器に出たのは、
若めの声をした男性教師だった。


「もしもし、私、少し前にこちらの地区に引っ越してきた者ですが。
 お宅の小学校に通っているケンくんのことでご相談させていただきたく、
 お電話いたしました」




そう伝えた途端、
受話器の向こうから深いため息が聞こえてきた。

先生
「またか……。あ、いえ、失礼しました。
 ケンくんの担任にお繋ぎしますね。少々お待ちください」

”また”とは、一体どういうことだろう。

こういうことが何度も繰り返されてきたということだろうか。

ケンくん担任
「はい、もしもし。お電話変わりました。
 ケンくんの担任のHです。今日はどういったご相談でしょうか」





「実は、毎日のようにケンくんが家に遊びに来るのですが、
 様子がおかしい面が度々見受けられるので、
 心配になってご連絡した次第です」

ケンくん担任
「はあ……。具体的には、どのような?」


「休みの日も朝早くからチャイムを鳴らされて、
 家族のお出かけにも着いてきたがって泣かれることもあります。
 それと……」


「今日、あまりにも疲れてしまってチャイムに応対しなかったら、
 窓ガラスを割られそうな勢いで叩き続けられました。
 子どもだとは分かりつつ、正直とても怖かったです。
 それと、ご家庭の状況についても気になる発言がありまして」




ケンくん担任
「……どのような発言でしたか?」


「お家に早く帰ったらだめだと。
 遅くに帰ってくるように言われている、と言っていました。
 でも、お母さんは仕事で留守だとも言っていて。
 発言が矛盾しているなと思って」

ケンくん担任
「お話は分かりました。
 学校側としては校外で起きたことですので、
 正直そこまで踏み込めるお話ではないのですが、
 ケンくんにお宅に毎日行くのはご迷惑になるからやめるよう指導することはできます。
 それで良いですか?」

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