◎前回の話はこちら
玄関ポーチに貼られていた無数の張り紙。
それを無心で剥がしていると、後ろから声をかけられた。
??
「あの…大丈夫?」
振り返るとそこにいたのは目の前の家に住む主婦・倉持さんだった。
私
「倉持さん…」
倉持
「こんなひどいもの…。私も手伝うよ!」
私
「ありがとうございます…」
倉持さんとは挨拶程度しか交わしたことがなかったが、
まるで自分のことのように必死に剥がしてくれた。
全部を剥がし終えた時、倉持さんが興味深い話をしてきた。
倉持
「これやったのってあの夫婦だよね…?」
私
「え…あの夫婦って…?」
倉持
「明那さん夫婦のこと。
実は私、これまでにあの人たちのこと何度か見かけててね…。
この近所じゃ悪い夫婦って有名よ。」
私
「悪い夫婦って…。そんなに悪いことをしていたんですか?
…よければ教えていただけませんか?」
倉持さんは最初あまりいい顔をしなかったが、
私たちが困惑していることに同情してくれたのか了承してくれた。
倉持
「わかったわ、知っていること全部教えてあげる。」
私
「ありがとうございます!
よければこのままうちに上がってください!」
倉持さんを自宅にあげ、話をしてもらうことにした。
私
「それで…。明那さんたちはどんなことをしていたんですか?」
倉持
「これはあくまでも噂なんだけど…。
長谷川さんたちが受けたように、勝手にガレージに車を停める常習犯って…。
それに加えて車に傷がついたと騒いでそこの住人のせいにしてお金を請求するとか…」
私
「それ…今私たちがされていることと一緒です…!」
倉持
「やっぱり…!
あの夫婦は、このあたりに引っ越してきた新しい住人をターゲットにして
お金を騙し取るってことも聞いたわ…
この噂は本当だったのね…」
私
「じゃあ私たちも狙われてたってことですか…」
倉持
「きっとそうかもしれないわね…。
私が見かけたのは長谷川さんのガレージに停めるところなの。
最初は悪い噂を聞いてたから声をかけてみたのよ。
でも
『許可を得て使わせてもらってる』
って…そう言ったのよ…」