◎前回の話はこちら
私
「ケンくんママ!」
私のその呼びかけに
振り向いたケンくんママは驚いた様子だった。
ケンくんママ
「…」
私
「ケンくんが朝、家に来て、『もう大丈夫です!』って
伝えてと言ってましたが、
一体昨日の今日で何がどうなったんですか?
その男性は誰ですか?」
冷静に対処しないといけないとわかっていても、
あまりのおかしな状況に慌てて話すことしかできなかった。
私の問いかけにケンくんママは黙ったままだった。
すると突然、横にいる若いハデな男性が口を開いた。
ケンくんママの横にいる男性
「あんたか?こいつの借◯をチャラにできるとか言ってるおばさん。
人の家庭に口出しして、余計なことするなよ!」
私
「失礼ですがケンくんママとはどういう関係ですか?」
ケンくんママの横にいる男性
「はぁ?なんでそんなこと言わないとダメなんだよ?
面倒臭いな…こいつの彼氏だよ。」
私
「そうですが、プライベートなことを聞いてすみませんでした。
でも昨日の話はケンくんママから聞いてるんですよね?
今の生活から抜け出せるかもしれないので協力してくれませんか?」
私の問いかけに予想だにしない回答が返ってきた。
ケンくんママの横にいる男性
「今の生活から抜け出す?黙れよ。
お前が余計なことしたら、俺が生活できなくなるんだぞ?
こいつが仕事辞めたら、パチ◯コに行ったり、
飲みに行ったりできなくなるだろ!
俺は抜け出したくないんだよ!」
私はケンくんママの方向を向いてこう聞いた。
私
「ケンくんママ。正直に応えてください。
あなたの昨日の涙は嘘じゃなかったはずです。
私は全力であなたを助けます。
もう大丈夫って大丈夫じゃないですよね?」
数秒の沈黙の後、
ケンくんママが泣きながら口を開いた。
ケンくんママ
「…はい。ここから抜け出したいです。」
すると突然、彼氏が激怒した。
ケンくんママの横にいる男性
「お前!何言ってんだよ!
今の仕事も俺が全部紹介して面倒見てやってんだろ!
何が抜け出したいだ!どうなるか覚悟しろよ!」
そう言って彼氏はケンくんママを引っ叩いた。
その瞬間、私は警察に連絡。
すぐに駆けつけた警察官に彼氏は逮捕された。
ケンくんママ
「すみません…あそこまで良くしてもらったのに私はあの人が怖くて…
あなたを裏切ってしまって。本当にごめんなさい。すみません。
でも今の生活を抜け出したいのは本当なんです…。」
全てを悟った私は、
泣き崩れるケンくんママを抱きしめた。
私
「大丈夫ですよ。もう大丈夫です。」