◎前回の話はこちら
【No.1】毎日マイホームに来る放置子
結婚から7年、日々節約をがんばり、
念願のマイホームを手に入れた。
マイホームの設計中に旦那とは意見がぶつかって何回か揉めたけど、
完成した我が家に初めて足を踏み入れた時は、手を取り合って喜んだ。
新居での生活に胸を...
旦那の誘いを聞いたケンくんは躊躇いなく庭に入り込み、
当たり前のように食べものに手を伸ばした。
少し図々しいと感じたが、
まだ小学校低学年ほどにしか見えなかったし、
まあいいかとその場はやり過ごした。
ケンくんママ
「すみません、初対面なのに、こんな……」
しおらしくそう言って頭を下げるケンくんママは、
一見控えめでやさしそうに見える。
でも、私は言葉にできない違和感を感じていた。
ケンくんママ
「ありがとうございました」
ケンくん
「美味しかった!ごちそうさま!!」
きちんとお礼を言ってケンくん親子は帰っていった。
遊び相手が来てくれたことで娘も喜んでおり、
旦那も
「良い人そうなご近所さんで良かったじゃないか」
とホッとした様子。
私
「そうね……」
旦那は違和感を一切感じていない様子で、
私の思い過ごしかなと思い始めていた。
でも、
その翌日から毎日ケンくんが我が家にやってくるようになった。
ケンくん
「あーそーぼー!!」
夕方、
ランドセルを背負ったままやってきたケンくんに私は驚いて尋ねた。
私
「こんにちは。
ランドセル背負ってるってことは、まだお家に帰ってないんだよね?
ママが心配するから、まずはお家に帰ったほうがいいよ」
ケンくん
「大丈夫!朝のうちにママにここに遊びに来ることは言ってあるから!
お邪魔しまーす!!」
私
「あ、ちょっと……!!」
私の制止も聞かず、ケンくんはするりと家の中に入ってしまった。