◎前回の話はこちら
【No.5】毎日マイホームに来る放置子
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家に上がり込むなり、
ケンくんが開口一番わけのわからないことを言い出した。
ケンくん
「ママが、
今度からどこかにお出かけする時は俺も連れて行って大丈夫です、
って。
知らない...
私の言葉を聞いて、ケンくんお得意の泣き真似が始まった。
でも私は、態度を曲げなかった。
私
「泣かれても困るのよ。
うちにはまだ小さな娘もいるし、
我が家には我が家の都合があるの」
ケンくん
「どうしてそんな意地悪なこと言うの。
俺、ただここで遊びたいだけなのに」
私
「悪いけど、ここは私たちの家なの。
ケンくんの家じゃないの。
こんなに毎日毎日当たり前みたいに来られても、正直迷惑なの。
毎日来るのは、何か理由があるの?」
ケンくん
「できるだけ遅くに帰らなきゃいけないから。
だから、ここで遊んでから帰りたい」
私
「どういうこと?遅くに帰らなきゃいけないって……」
ケンくん
「早く帰ったらママに怒られるから。だから……
でも、それ俺が言ったって言わないで。
バレたら怒られるから、絶対言わないで」
ケンくんのこの言葉で、嫌な予感が確信に変わった。
ネグレクト。
世間でニュースになっているワードが頭をかすめる。
「言わないで」と言った時の悲痛な表情から察するに、
「怒られる」というのは本当なんだろう。
ケンくんの身を案じた私は、
その日はいつも通り夕方まで遊ばせて家に帰し、
帰宅した旦那に相談した。
私
「学校に連絡したほうがいいかな。それとも児相とか?」
旦那
「下手なことして恨まれても困るだろ。
次から家に入れなきゃいいじゃないか」
私
「でも、そしたらあの子、夕方までひとりでいなきゃいけないのよ。
雨の日だと公園にも行けないし……あ」
旦那
「どうした?」
私
「お出かけの日、雨だったね。
だからあんなに一緒に行きたがったのかな」