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【No.7】毎日マイホームに来る放置子
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どんな理由で我が子をほったらかしているのか、
どんな理由で「遅くまで帰ってくるな」と
小学校低学年の子どもに言い含めているのか。
様々な憶測が私の頭の中を駆け回った。
今日もケン...
しばらくすると諦めたのか、ケンくんは帰っていった。
静けさを取り戻したリビングで、
私はしばし呆然と座り込んでいた。
娘
「ママ、大丈夫?ママ?」
私
「大丈夫よ。ありがとう、ごめんね」
そう言って娘の身体を再度ぎゅっと抱きしめる。
娘はさも不思議そうに、私に尋ねた。
娘
「ママ、どうして今日はケンくんと遊んじゃだめだったの?
ご用事があるの?」
私
「娘ちゃんは、ケンくんと遊びたかった?」
娘
「うん。ケンくん意地悪な時もあるけど、やさしい時もあるよ。
意地悪な時のケンくんはきらいだけど、やさしい時のケンくんは好き」
娘の言葉を聞いて、とめどなく涙があふれた。
意地悪をされても、
やさしい時もあるからとKくんをきらいになりきれない娘。
そのやさしさに胸が詰まった。
私
「そっか、ごめんね。
ちょっと心配なことがたくさんあって。
ママ、疲れちゃってて。ごめんね」
娘
「いいよ。ママ、ごろんしていていいよ」
そう言って、娘は私の頭を撫でてくれた。
このままじゃいけない。
放っておいていい問題じゃない。
ふいにそんな感情が込み上げてきて、
私はほぼ衝動的に携帯電話を握りしめ、小学校の電話番号を検索した。
ダイヤルを押す手が震える。
でももう、後戻りをする気はなかった。