◎前回の話はこちら
金子さんの圧に負け、結果的に町内会長を引き受けてしまった私たち…。
夫は揉め事が嫌いで、誰かと揉めるくらいなら自分を犠牲にしていくような人。
反対に私は納得いかないことはとことん詰めていくタイプだった。
だからこそ夫のそういうところに惹かれて結婚したんだ…。
私
「…そうだね、わかった。」
それから私たち一家にとって地獄のような日々が始まった…。
引越して2日目の朝、家の電話が鳴った。
夫
「ん?朝早くに誰だろう?」
私
「あ、私出るね!朝ご飯食べてて!…もしもし?」
電話に出るとその相手は金子さんだった。
金子
『金子ですけど。渡すものがあるから今すぐうちに来てもらいたい。』
私
「今から…ですか?すいません、今はちょっと忙しくて…」
金子
『いいから来いって言ってんだ!!こっちだってそんなに待てないよ!」
そう怒鳴ると一方的に電話を切られてしまった。
夫
「どうしたの?」
私
「あぁ…なんか金子さんで。今から家に来いって…」
夫
「今から!?…よし、僕が行ってくるから、みなとのことよろしく。」
夫は私に代わって金子さんの家に行ってくれた。
それから10分後・・
玄関先から夫の声がした。
夫
「さなーーー!!!ちょっと来てくれー!」
私
「…え、何それ、どうしたの!?」
夫の足元にはダンボールが3箱、夫の手元にもひとつダンボールが。
夫
「足元にあるのは引き継ぎの書類だって。で、これはさなに渡してくれって。」
私
「私に…?」
箱を開けるとそこには古いおもちゃや穴やシミのついた子供服など、息子の物だとわかるものが入っていた。
私
「え…何これ…汚い」
夫
「な、なんだよこれ…。こんなの着せろってことか!?」
私
「さすがに酷すぎる…」
なんと金子さんは、町内会長の引き継ぎの資料や文書、備品だけでなく、ゴミ同然の古着やおもちゃまで渡してきたのだった。
私
「ん…?中に何か入ってる…、手紙?」