志乃
「ありさちゃんの旦那さんだけど…、◯倫してると思うの。」
私
「…え?…え?な、なんで…?」
私は何度も聞き返していた。
志乃さんはとても言いづらそうにして全てを話してくれた。
志乃
「実は数日前にね、近所を歩いてたら反対側の歩道を旦那さんが歩いてたの。」
志乃
「そんなに距離もなかったから手を振ろうとしたら、隣に少し派手目の若い女の子がいて…。よく見たら2人、腕組んでたの…。」
私
「み、見間違いじゃ…?」
志乃
「私もそうだと思ってた!でもこれ…。旦那さんだよね…?」
志乃さんはスマホを渡してきた。
そこにはよく知っている私の夫の姿が写っていた…。
志乃さん家族とは、家族ぐるみで仲良くしていたこともあり、夫の顔も知っていた。
志乃
「私も間違いであってほしいと思ったけど、どうしても気になって後をつけちゃって…。その時に撮った写真なの…。」
私
「…うん、これ夫だ…。」
志乃
「……。本当はこれをありさちゃんに伝えたくて…。」
志乃
「写真を撮ってから、これを見なかったことにしようとも思ってたし一度消したけど…。ありさちゃんが妊娠してるって知って、言わないわけにはいかなくて…。」
私は特別自分が妊娠したことを志乃さんなど他の人には伝えていなかった。
私
(だから妊娠してるってわかった時表情が曇ってたのか…。)
志乃
「2人目を授かってるのに◯倫って…。ありさちゃんと子供たちが気の毒すぎる…!」
志乃さんは涙ながらにそう言った。
私はショックすぎてしばらく何も考えられなかった。
でもこれ以上志乃さんちでこうしているわけにもいかない…。
私
「…ごめん、今日は帰るね。教えてくれてありがとう…。」
志乃
「う、ううん!!こちらこそこんな話してごめんなさい…。あの…、私にできることがもしあれば、協力するから!!だから1人で抱え込まないでね…?」
私
「…ありがとう。」
私はふらふらした足取りでなんとか家に帰宅した。
もちろん家には誰もいない。
家に入った途端、堪えていたものが込みあがり、玄関先で大泣きした。
私
(どうして私がこんな目に遭わなきゃならないの…。悪阻が辛くても手伝おうとすらしてくれない、子供のこともきちんと考えてくれない…。それで自分は◯倫…?ならここ1週間帰ってこないのも◯倫相手の家にいるってこと…?)
これまでに対するものすごい量の疑問や感情が頭を駆け巡った…。
どれくらい玄関先にいたんだろうか…。
ふと時計を見るとそろそろお迎えの時間になっていた。
私
「…あ、お迎え行かなきゃ…。」
すると1件のLINEが入った。
相手は志乃さん。
志乃
『今日のかりんちゃんのお迎え、良ければ私がするよ!』
内心とても助かった。
「お願いします」とだけ返信し、私はまた玄関先に座り込み目を閉じた…。