放置子

【No.17】毎日マイホームに来る放置子

放置子

◎前回の話はこちら

【No.16】毎日マイホームに来る放置子
◎前回の話はこちら 翌朝、これからどう動くのが最善なのか、 あれこれ考えているとチャイムが鳴った。 玄関を開けるとそこにはケンくんが立っていた。 私 「ケンくん!?おはよう。どうしたの?」 ...


「ケンくんママ!」

私のその呼びかけに
振り向いたケンくんママは驚いた様子だった。

ケンくんママ
「…」


「ケンくんが朝、家に来て、『もう大丈夫です!』って
 伝えてと言ってましたが、
 一体昨日の今日で何がどうなったんですか?
 その男性は誰ですか?」

冷静に対処しないといけないとわかっていても、
あまりのおかしな状況に慌てて話すことしかできなかった。




私の問いかけにケンくんママは黙ったままだった。

すると突然、横にいる若いハデな男性が口を開いた。

ケンくんママの横にいる男性
「あんたか?こいつの借◯をチャラにできるとか言ってるおばさん。
 人の家庭に口出しして、余計なことするなよ!」


「失礼ですがケンくんママとはどういう関係ですか?」

ケンくんママの横にいる男性
「はぁ?なんでそんなこと言わないとダメなんだよ?
 面倒臭いな…こいつの彼氏だよ。」


「そうですが、プライベートなことを聞いてすみませんでした。
 でも昨日の話はケンくんママから聞いてるんですよね?
 今の生活から抜け出せるかもしれないので協力してくれませんか?」

私の問いかけに予想だにしない回答が返ってきた。




ケンくんママの横にいる男性
「今の生活から抜け出す?黙れよ。
 お前が余計なことしたら、俺が生活できなくなるんだぞ?
 こいつが仕事辞めたら、パチ◯コに行ったり、
 飲みに行ったりできなくなるだろ!
 俺は抜け出したくないんだよ!」

私はケンくんママの方向を向いてこう聞いた。


「ケンくんママ。正直に応えてください。
 あなたの昨日の涙は嘘じゃなかったはずです。
 私は全力であなたを助けます。
 もう大丈夫って大丈夫じゃないですよね?」

数秒の沈黙の後、
ケンくんママが泣きながら口を開いた。

ケンくんママ
「…はい。ここから抜け出したいです。」

すると突然、彼氏が激怒した。




ケンくんママの横にいる男性
「お前!何言ってんだよ!
 今の仕事も俺が全部紹介して面倒見てやってんだろ!
 何が抜け出したいだ!どうなるか覚悟しろよ!」

そう言って彼氏はケンくんママを引っ叩いた。

その瞬間、私は警察に連絡。

すぐに駆けつけた警察官に彼氏は逮捕された。

ケンくんママ
「すみません…あそこまで良くしてもらったのに私はあの人が怖くて…
 あなたを裏切ってしまって。本当にごめんなさい。すみません。
 でも今の生活を抜け出したいのは本当なんです…。」

全てを悟った私は、
泣き崩れるケンくんママを抱きしめた。


「大丈夫ですよ。もう大丈夫です。」

タイトルとURLをコピーしました